−甘嘘別館−  
♪ハッピーエンドのBL小説を連載します♪

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Author:りょう
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「出会わなければ」には、実在のバンド、メンバーと似た人物が出てきますが、実在の人物とは一切関係ありません。

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恋の行方…32
「あのね、二人で勝手に僕のことを、『あげる』だの『もらう』だの言ってるけどさ、僕はモノじゃないんだからね!」
 カズミが怒ったようにそう言った。だけど、その顔を見るととても怒っているようには見えなくて、思わず俺は笑顔を向けてしまった。俺を見たカズミは、真っ赤になって困ったような顔をするだけだった。

「はいはい、わかってるわよ、カズミはモノじゃなくて、『恥ずかしがり屋で無愛想な男の子だ』って事」
 良美さんが笑いながらからかうようにそう言うと、カズミが良美さんをギロリと睨んだ。
「ちょっと、姉貴! 何だよその言い方!」
 だけど、良美さんはカズミの文句など聞こうとしていないようで、ぷいと顔をそらすと部屋から出ようとドアの方に歩いていってしまった。

「ねぇ、それよりカズミ、二人でイチャイチャするのはかまわないけどさ」
 ドアの前で立ち止まった良美さんが声をひそめながらそう言って、くすっと笑った。
「・・・イチャイチャって・・・何だよ・・・」
 カズミが不機嫌そうな声で言い返した。
「だって、さっきギューッて抱き合ってたじゃないの」
 良美さんがそう言って振り返り、パチンとウインクして見せた。

「いや、そうじゃなくて・・・」
 カズミとしては不本意だったんだから、イチャイチャとか言われたらいい気分はしないだろうけど――。
「まぁ、それは良いんだけどさ。ねぇ、あんた達」
 良美さんが再びイヤラシイ笑顔を浮かべて俺とカズミを交互に見た。
「何だよ・・・」
 カズミがベッドの上で身構えた。俺も良美さんが何を言い出すのかとヒヤヒヤしていた。

「家ではエッチいことしたらダメだからね」
 良美さんが右手を口元に添えながら小さな声でそう言った。
「はぁ?」
 カズミは一瞬何を言われたのかわからなかったようで、キョトンとした顔で良美さんを眺めていた。
その後、良美さんが微妙な手つきをすると、カズミが顔を真っ赤にしてプルプル震えだした。
「姉貴のアホ!・・・・・・そんな事するかーーーー!」
 だけど、良美さんは怒り出したカズミを見て、楽しそうに笑っているだけだった。
「まぁ、カズミが声を我慢すれば、色々と出来なくないけどね」
 部屋のドアを開けて出て行く寸前に良美さんがそう言ってもう一度笑った。 
「・・・声って・・・・・・?!」
 そう聞き返したカズミに、良美さんは不敵な笑顔を浮かべたまま投げキスをした。
部屋の外からは良美さんの機嫌よさ気な鼻歌が聞こえてきた。

 
「何なんだよ、姉貴の奴・・・・・・」
 良美さんが出て行った後、カズミは力が抜けたようにベッドの上に座り込んだ。
俺はカズミがあまり不機嫌ではないように思えて、微妙に期待していた。良美さんとは無事別れられたことだし。
でも、まぁ一番の問題は・・・カズミの気持ちだけど――。

「さて・・・良美さんのお許しも出たことだし」
 俺はカズミの前に座りなおしてから、カズミの両肩に手を置いてジッと目を見つめた。
「・・・な、何?」
 カズミは俺から視線を外しソワソワし始めた。だけどちっとも逃げようとしていないんだよな――。
「カズミ、こっち向いて」
 俺はソッポ向いてしまったカズミの顔を俺の方に向けたくて、右手でカズミの頬に触れた。するとカズミは驚いたようにビクッと体を震わせてから上目づかいで俺を見た。
カズミのその表情があまりにも可愛くて、俺は思わずニヤニヤ笑い出してしまった。そんな俺を見てカズミが不思議そうに目を瞬かせた。
 
「あのね、改めてカズミに言いたいんだけど」
 俺は咳払いを一つしてからそう言った。目の前で微かに震えているカズミ・・・腕の中にギュッと抱きしめてしまいたい!
「な・・・何?」
「カズミ、俺と付き合ってくれる?」
 俺は自分でも顔が赤くなるのがわかった。言っちゃったよ・・・とうとう。
男に告白なんてありえない? そんなのもう、どうだって良いんだ!

「付き合うって・・・もう友達じゃん・・・」
 わかっているのかわかっていないのか? カズミがはぐらかすように答えた。
「あのさ、ただの友達じゃなくて――俺はカズミと、将来的にはエッチな事もするような、そんな付き合いをしたい・・・って思っているんだ」
 ストレートにそう言った。回りくどいこと言って、誤魔化すようなことはしたくない。
「またまた・・・エ、エッチなこと・・・だなんて・・・」
 カズミが顔の前で一生懸命手を振って拒否しようとしていた。だけど、俺の気持ちは止められない。って言うか、このぐらいでメゲテはいられない、そう思っていた。だって、カズミを失うなんて考えられないんだよ。
「すぐにじゃなくて良いんだよ。少しずつ俺のことわかって行って欲しい。俺もカズミのこと、もっともっと知りたい。カズミと一緒に居るのが楽しいってわかったから・・・もう、離したくないって思った。
良美さんにも嘘ついていられないって・・・」
 俺がそう言うと、カズミが困ったような笑顔を向けた。
「そりゃさ、僕も・・・山崎といるのは楽しいけど・・・」
 困ってるみたいだけど、嫌がってない。そう確信した俺は、話を一歩進めることにした。
「なぁ、カズミ? キスもイヤじゃなかったでしょ?」
「え・・・・まぁ・・・」
 俺の問いかけに、カズミは真っ赤になりながらも小さく頷いた。

ヤバイ・・・・・・マジで可愛すぎる。

 その後、カズミは何かを一生懸命考えているようだった。俺はたまらずカズミの頬に軽く触れるだけのキスをした。カズミは相変わらず逃げもせず、ボンヤリした表情で俺を見上げていた。
そして、俺がもう一度キスをしようとすると、急に目が覚めたようにカズミが頭を振り出した。
「ちょっと、や、山崎・・・」
 慌てたらダメだよな・・・小さく頭を振っているカズミを見ながら、俺はそう思った。
「な? あんまり深く考えなくても良いよ。取り合えず、このまま友達のちょっと延長みたいな感じで居られたら俺、すごく嬉しいし・・・」
 友達の延長・・・だけど俺はカズミが好き、そして恋人としての付き合い方がしたいと思ってる――。
俺の気持ちは伝えられたし、後はゆっくり進めて行くしかない。

 頑張れ俺。カズミは俺のこと、嫌いじゃないんだ――。


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