−甘嘘別館−  
♪ハッピーエンドのBL小説を連載します♪

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Author:りょう
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「出会わなければ」には、実在のバンド、メンバーと似た人物が出てきますが、実在の人物とは一切関係ありません。

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恋の行方…30
 目の前で見るカズミの少し怯えたような顔・・・そんな表情さえ愛しく思えてしまう。
って言うか、ベッドの上でこの状況なのはドキドキを通り越してヒヤヒヤものだろうな――意外に冷静な俺がカズミを見下ろしながらそう思っていた。
「あのさ、山崎。落ち着いてよ」
 カズミの声が微かに震えていた。
「大丈夫。落ち着いてるから」
  
「あ、えっと・・・なぁ、山崎? あの、『最初から』ってどういう事?」
 カズミがオドオドしたような目で俺を覗き込んでいた。そんな質問してくれて、カズミは俺に告白する場を与えてくれているのか? 俺は良い方に考えてしまうじゃないか。 
「気づいてなかったよな、カズミ」
「な、何がさ・・・」
 カズミが少し怒ったように言った。
 俺の気持ちをわかってたら、友達で居てくれなかっただろうね・・・。
これでカズミとの友達関係も終わってしまうんだ、それなら、気持ち全部を言ってしまおう――そう開き直ったら、俺は気持ちに余裕が出てきた。

「なぁ、カズミ、朝、電車で会うようになったの、いつからだか知ってる?」
 カズミの目をジッと見つめながらそう言うと、カズミは恥ずかしそうに視線を泳がせ始めた。
「え・・・姉さんが最初に家に連れてきた次の日・・・だろ?」
 当然のようにカズミが答えた。やっぱり・・・知っているわけないよな。
「違うよ、俺らが1年の頃から」
 俺がそう言うと、カズミが驚いたように目を見張った。
「えっ! マジ?」
 カズミが驚いている様子がメチャメチャ可愛かった。俺は思わず笑いながらカズミを引っ張り起こした。
ホッとして力が抜けていたのか、カズミは俺の腕の中にスッポリ収まってしまった。だけど、俺が見つめるとカズミは慌てて俺の腕の中から逃げ出し、ベッドの端に座りなおした。

「マジ。正確に言うと、1年の夏休み明け頃からかな? カズミはいっつも窓の外眺めていたから・・・周りに誰がいるかなんて覚えてないよね」
「まぁ・・・そうだね」
 俺は最初にカズミを見つけたときのことを思い出していた。男子の制服を着ていたのに、カズミのことを女の子だと思っていた俺、ホントにバカだったよな――。
「俺、ずっと・・・カズミのこと可愛いなって思ってたんだ」
「あの、僕、男だよ? って言うか、もしかして、山崎って男が好きなの?」
 カズミの問いかけに、俺は首を振った。
「男なのは知ってるさ。別に俺はホモとかそんなんじゃないよ。だから、男のカズミには声がかけられなかったんだ」
「そっか・・・」
「単純に『可愛いな』って思っていた気持ちが、『好きだ』って気持ちになっていって、俺、自分でも困ってたんだ。今まで同性を好きになった事なんてないし・・・」
 カズミは困ったような顔をしたままだった。だけど、カズミからは俺に対する嫌悪感などが感じられなくてそれだけで俺はホッとしていた。
「僕も・・・男に告られたこと・・・ないなぁ」
 カズミがそう言ってクスッ笑った。

「でさ、3年になってしばらく経った頃、学校帰りの電車で、カズミによく似た女子大生に時々会うようになったんだ。女子大生なら、年上だけど、女の人だろ? だから、この人になら声かけてみても良いんじゃないかって思って・・・」
「へぇ」
「で、何度目かに会えたとき、声をかけたんだ。そしたら、話しやすくて良い感じで」
 カズミが微かに眉をひそめた。
「それで?」
 その声は少し怒ったような声に聞こえた。ナンパなやつだって思っているんだろうな。
「それで・・・彼氏が居ないなら、俺と付き合って欲しいって言ったんだ」
 カズミが軽蔑したような目で俺を見た。
「付き合ってくれって言ったのって、声かけたその日?」
「うん・・・まぁ、そう」
「山崎って結構軽いんだね」
 余計な話までしてしまっているのはわかってた。だけど、どうせ嫌われるなら、とことん・・・って感じだ。それに――良美さんとも別れてしまえば・・・カズミのことを忘れることが出来るだろうから。

「イヤ軽いわけじゃ・・・でも、そうなのかな。正直わかんね。今まで知らない人に声かけたことなんて無いし・・・。でも、この人を逃したら、朝電車で会うカズミの事、襲うかもしれない・・・なんて思ってたから」
「え?!」
 カズミが驚いたように腰を浮かせた。身の危険を感じてしまったんだろうな。
「冗談・・・。その位、カズミの事が好きになっててさ。でも、男のカズミに付き合ってくれなんて言えないし・・・だから、その人と付き合えたらなって・・・」
 カズミが立ち上がろうとしたけれど、俺はカズミの細い腕を掴みそれを阻んだ。
「う〜ん・・・」
 カズミが困り果てていることが伝わってきた。ゴメン、後もう少しだけ、話を聞いて――。
「でも・・・良美さんの家に呼ばれてビックリだよ。朝会う大好きな奴が、良美さんの弟だったなんて」
 カズミの腕を掴んでいる手にキュッと力を入れた。すると、カズミが俯いて真っ赤になった。

「俺、やっぱりカズミが好きだ、良美さんじゃなくて・・・。カズミじゃないとイヤだ」
 これが最後――そう思いながら俺はカズミの耳元に顔を近づけた。
「あ・・・ダメだって。こんなのマズイよ」
 カズミがブルッと体を震わせ、俺から逃げようと後ずさりし始めた。
俺は逃げていくカズミを壁際に追いつめ、両腕でギュッと抱きしめてから、カズミの唇に自分の唇を重ねた。
二人の心臓の鼓動がシンクロしているように思えた。

 カズミは抵抗もせず、俺の腕に体を預けてきた。夢のような瞬間だった・・・カズミは俺のキスがイヤじゃないんだ?
 俺は周りの音も何も聞こえないぐらい、夢中でキスし続けた。

「ただいま〜。ねぇ、カズミ、たく・・・」

 急に開いたカズミの部屋のドアから、良美さんの声が聞こえてきた。



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