−甘嘘別館−  
♪ハッピーエンドのBL小説を連載します♪

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Author:りょう
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「出会わなければ」には、実在のバンド、メンバーと似た人物が出てきますが、実在の人物とは一切関係ありません。

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恋の行方…22
「じゃ、また。来週な」
 俺達の乗っていた電車は、いつの間にかカズミの降りる駅に到着していた。
「あ、うん。じゃあ・・・」
 黙り込んでしまっていた俺に、カズミが困ったような顔を向けながら電車を降りていった。

 まさかカズミに、俺が良美さんと付き合ったきっかけを聞かれるとは思っていなかったな――。
アホな俺は、カズミのジッーと見つめるような熱い視線に惑わされ、危うく本当の気持ちを伝えてしまう所だった。
 やっぱり・・・言ったらマズイことだよな? だけど、悶々と悩んでいるよりも、告白してしまえば、何かが変わるのではんじゃないだろうか? いや、そんな簡単なことではない、告白してしまったら、気味悪がられて避けられてしまうかもしれないんだぞ。
・・・でも、それでも、もしかしたら・・・

――不毛な問いかけを何度も自分に投げかけながら、俺は電車の窓からホームにいるカズミの姿を目で追った。
 すると、改札の方に向かって歩いていたカズミが、俺の視線に気づいたかのようにピタリと足を止め、俺の乗っている車両の方に顔を向けた。

 目が合ったように思えた俺は、カズミを見つめながら声を出さずに呟いた――。
「俺の好きなのは、カズミなんだ・・・」
 カズミには伝わるはずのない心の叫びが、自分の胸を締め付けた。


 俺が何を言ったのかわからないのだろう、カズミは足を止めたまま不思議そうな顔をして俺を見つめ返していた。そして俺を乗せた電車は、そのまま少しずつスピードをあげながら、カズミの立ち尽くしているホームを後にした。




 その日の昼休み、食欲が無かった俺は、学食へは行かず、購買部で買ってきたパンを自分の席で食べながら、一人ボンヤリとカズミの事を思い出していた。

「おい、ヤマザキ・タクシー!」
 俺が一人の世界に浸っていると、他の友人数名と一緒に学食に行っていたはずの悪友、田部のだみ声が聞こえてきた。

「お前一人じゃ寂しいだろうと思って、優しい俺様が付き合ってやることにしたぜ」
 ありがた迷惑だよ――俺は心の中で呟きながら、田部の言葉を意図的に無視した。
「なぁ、山崎ぃ、お前この頃ボッとしすぎじゃねーの?」
 返事をしないまま顔をあげた俺を見て、呆れた様な顔を向けた田部が、そう言いながら右手に持っていたビニール袋を俺の隣の机にドサッと置いた。
袋には弁当とペットボトルの飲み物が入っているようだ。俺の隣で食べるつもりなんだな――

「悪い。ちょっと寝不足でさ・・・」
 俺はそう言ってから、手に持っていた食いかけのタマゴサンドを口の中に押し込んだ。

 男に恋して悩んでいる・・・なんて、こいつにだけは言いたくない。

「へー。そう」
 袋の中からおにぎり2個、カレーパン、メロンパン、それから緑茶のペットボトルを次々と出し、机に並べながら気の無い返事をした。
「うん、そう」
 俺はそう答えてから、500mlの牛乳パックにさしてあるストローを口にくわえようとした。

「なぁ、寝不足の原因ってさ、毎晩彼女とイチャコラしてるから・・・とかだろ?」
 しばらく黙々とおにぎりを食っていた田部が、2個目のおにぎりにかぶり付き、口をモゴモゴさせながらそう言って俺の背中をパンと叩いた。
危うく俺は、ストローで吸い始めていた牛乳を吹き出しそうになった。
「そんなん、ありえないし」
 咳払いを一つしてから、俺は平静を装ってそう答え、もう一度ストローを口にした。 

 俺が今、一番話したくない「彼女」の話題を振ってくるなんてなぁ。田部らしいと言えば田部らしいけど――。

 あぁ、でも・・・そういえば、良美さんとの仲はキス止まり――。それも、どちらかと言えば、良美さんにリードされてる感じだったっけ。
 それに、最近の俺はバカみたいにカズミのことばかり考えているから、健全な男子高校生の性欲さえ、どこに向けて発散したら良いか戸惑うばかりの毎日だよ――。

「あらら? もしかして、彼女とはまだ清い交際してます・・・とか言うんじゃないよな?」
 カレーパンとメロンパンの袋をあけ、どちらを先に食べるか迷っている様子の田部が、そういいながら俺にイヤらしい笑顔を向けた。
正直言って、こういう時の田部はしつこくて嫌だと思う。

「あぁ。まだ清いお付き合いだよ」
 色々詮索されても面倒だと思った俺は、話したくないんだよという気持ちを込めて、不貞腐れたように言い返した。
「何だよ、さっさと済ましちゃえよ。早く色々と情報交換しようぜ」
「るせーなぁ、ほっとけよ・・・」
「放っておけるかよ、俺ら親友じゃねーか」
「親友ねぇ・・・」
 だとすると、俺は親友にも話せないような悩みを持っているって事になるのか――。親友って言葉も妙に重く感じられるよ。
「そうそう。だから、お前にだけスペシャルな情報を教えてやるよ」


 その後、女の身体について田部がコソコソと講義してくれたけれど、今までに何度か聞かされた話だったので、俺は適当に聞き流していた。
 田部の話を聞き流しながら、俺はハタと考えた。
 例えば・・・万が一・・・いや、あり得ないことなんだろうけど・・・
男同士でやる時って・・・一体どんな風にすればいいんだろう? ケツがどうのって話は聞いた事があるけど・・・。 
手をつないだり、キスしたりの先には未知の世界が待っているって感じかも――そう思いながらカズミのとことを考え始めると、腹の下あたりが急に熱くなってきて、俺は一人で焦ってしまい足をモゾモゾと動かした。
 多分、田部は、俺が田部の性体験の話を聞いて興奮してソワソワしている・・・程度にしか見えてないようだけど・・・。

「な、わかったか? いつまでも何もしないでいたら、彼女だってじれったくなってくるんだぜ。何もしないなら、もういい! とか思われちまうかもよ」
 田部の見当外れのアドバイスが続いた。
「わかったって」
「わかってねーだろ? 付き合ってどのくらい経つんだよ? そろそろ良い時期じゃねーの?」
 
「何もしてないわけじゃないって・・・」
 田部があまりにもヘタレな奴のように扱うことにムカついてしまった俺は、飲み終わった牛乳のパックを握りつぶしながら思わず言い返していた。
変に言い返すと話が長くなってしまうのはわかっていたのだけれど――。
「何だよ、山崎。もったいぶりやがって。どこまでいったんだよ? 俺はちゃんと話してやってたのに」
 俺の頭をバシッと叩きながら田部が文句を言ってきた。そんなのお前がしゃべりたがりなだけだろ・・・。
「いや、だってなぁ、キスしたくらいの話じゃ、お前にまた色々つっこまれるだろ? キスまで行ったら女はその先を待ってる・・・とか何とか」
「わかってんじゃん。女だけじゃないだろ? キスしたらさ、やっぱその先を考えちゃうのが男ってものじゃねーかよ。ってか、キスしてたんだ? まぁ、『超へタレ』からは脱出してたんだな」
 田部が嬉しそうに俺の腹をグリグリ押してきた。
「まーね」

 その後もしばらく、俺と「彼女」との仲がどのくらい進んでいるのか聞き出そうとしている田部は、パンを食いながら色々と質問を続けた。

 俺は、嫌でも良美さんのことを考えなくてはいけない状況に追い込まれてしまった。そのおかげで自分が、もう良美さんとこれ以上の付き合いを望んでいない、ということがハッキリしたようだ。


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