−甘嘘別館−  
♪ハッピーエンドのBL小説を連載します♪

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Author:りょう
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「出会わなければ」には、実在のバンド、メンバーと似た人物が出てきますが、実在の人物とは一切関係ありません。

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恋の行方…2
 あれは高1の夏が過ぎた頃だった・・・。

 ある日の朝、俺はいつもの電車に乗り遅れ、次の電車を待っていた。
 ホームで電車を待ちながら、俺は頭の中で「今度の電車だと、駅から走らないと間に合わねーんだよ!」って、ぶつけようの無いイライラと戦っていた。

 ほんの数分前、俺はいつもの電車に乗ろうと思い、急いで階段を上っていた。その時、後から階段をかけ上がって来た人が急にぶつかってきて、俺は肩にかけていた鞄を落としてしまった。
ぶつかったサラリーマンは何も言わずに、そのまま階段をかけ上がって行き、人ごみに紛れて見えなくなった。
そして俺はムッとしながらそいつの背中を見ているうちに、電車に間に合わなくなってしまったのだ。
 混んでいる中、相手も急いでいたんだろうから仕方無いのはわかる、だけど、「すみません」の一言も無いなんて、今の大人はどうなってるんだよ・・・そう思いながら、俺は腕時計を見つめ溜め息をついた。


 だけど、その後俺は、「いつもの電車に乗らなくて良かった」って思えるような運命の出会い(?)をしてしまうのであった――


 次に来た電車は、いつも乗っている電車よりも空いていたので、俺は苦労しないで車内に乗り込むことが出来た。
 俺はドアのすぐ横の座席前にある吊革に掴まると、顔を上げて窓の外を眺めた。
晴れ渡った、清々しい空が広がっていたが、それを眺めていても、俺のイライラはおさまらなかった。


 隣駅に着くと、俺の前に座っていたOLが立ち上がり電車を降りて行った。
ラッキーな事に俺は朝から座ることが出来るのだ――朝からついてない・・・と思っていたけど、そうでもないか。駅から学校まで走らないといけないわけだし、今のうちに少しゆっくりしていこうじゃないか――そう思いながら、俺は座席に座って、反対側のドアに目を向け、駅から乗り込んでくる乗客をボンヤリ眺めていた。

 ここの駅は、この時間帯に乗ってくる人が多いんだ?――そう思いながら人の流れを見ていた俺は、次の瞬間、メチャメチャ俺好みの子を見つけてしまった。その時の俺には、その子だけが輝いて見えた。
 これが一目惚れってやつなのか・・・俺はドキドキしながら、その子を目で追った。でも、残念な事に、その子は電車に乗り込むとすぐにドアの所に立ち、窓の方を向いてしまったのだ。俺の席からは顔が全然見えない――。
 だけど・・・柔らかそうな髪、色白の肌、キリッとした眉、ほんの少し垂れた目――その人の可愛らしい顔が、さっきの一瞬で、俺の記憶の中にシッカリ留まってしまった。

 俺はその時、いつもの電車に乗り遅れて、イライラしていた事もすっかり忘れ、電車を降りる頃には、明日も頑張ってこの時間の電車に乗るぞ――なんて思っていたのだった。


 そして・・・
 それから数日が過ぎたある日、俺は新たな事実を知り、浮かれきっていた恋心の持って行き場に困ってしまうのである――。


 一目惚れしたあの日以来、俺はいざとなったら遅刻覚悟で、彼女に会える電車に乗るようになった。


 その日は彼女の乗る駅からの乗客が意外と少なかった。いつも彼女の周りを囲むように立っている女子高生やサラリーマン等の邪魔者が居なさそうで、「今日はジックリと見られるぞ」なんて、ウキウキした気分で、電車に乗り込んで来た彼女を眺めた。
 いつもは、人の隙間から、顔が覗いている程度だったのだけれど、その日は彼女の頭の先からつま先までがシッカリ見えるじゃないか。
 胸は大きいのかな? とか、足は細いかな? とか、そんな事をモヤモヤと考えながら、彼女のことを見ていると・・・

「あいつ、男じゃねーか・・・」思わず言葉にしてしまいそうだった。

 俺、この数日間、こいつを見つめてたのか――
 自分が男に恋心を抱いていたんだ――という事実は、俺にかなりの打撃を与えた。
顔以外はあまり見えなかった(見ていなかったとも言える――)から仕方ないけど、もっと早く気づけよ、と自分に思わず突っ込みを入れてしまう。
よく見れば、男ってわかっただろうに・・・落ち込みとも、後悔ともつかないような妙な気持ちと共に、俺はそいつから視線をそらした。

 相手が男だとわかると、これ以上そいつを見ている理由は無くなってしまい、翌日から俺は、以前乗っていた電車に乗るようになった。

 だけど、その後の俺は、毎朝何か物足りないような気がしてしまい・・・自分でもバカな行動だと思ったのだけど、また、そいつに会うために、一本遅い電車に乗るようになった。
 俺はそいつの放つ、癒し系の雰囲気に、すっかりはまってしまっていたのだ。会話をしたわけでも、そいつが俺に何かをしてくれたわけでも無いのに、そいつの事が頭から離れなくなっていた。

 自分でも戸惑いは隠せなかった・・・だけど、付き合いたいとか、どうにかなりたいとか思っているわけでもないし、見ているだけなら、それも良いんじゃないか? そう思って、自分を騙し続けた俺だった。

 そして、結局、1年以上経っても、俺のほのかな恋心は消えないままだった。

 そいつはいつもドアのところで外を眺め、俺はそいつの横顔をチラチラと見つめる、そんな不毛な日々が続いた――。

 部活の朝練で会えない日や、そいつが同じ電車に乗ってこなかった日が、やけに辛いって思うようになっていた俺は、既に道を踏み外してしまっていたのだろうか・・・


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