智也がふざけたようにそう言って、俺の肩に手を置いた。
「何だその、『神楽くぅん』って。お前が言うとかなりキショイぞ」
俺はそう言って、肩に乗っている智也の手を払い除けだ。
「だから、俺が女だったらって言ってんだろ?」
智也がムッとしたように言った。
「……それも怖いぜ」
「ったく、てめ」
俺の言葉に腹を立てた智也が、俺に膝蹴りを食らわしてきた。やられっぱなしじゃいられない……と智也の背中をバシッと叩く――。
俺は、智也とじゃれ合いながら思った――俺の場合、自分が女じゃなくて、男のままでも、あいつのことが特別な意味で好きなんだよ――頭にその事実が思い浮かぶと、深い溜息が出た。
「でもよー、珍しいよな、神楽が休むの。丈夫そうでもないけど、休んだ事無かったんじゃない?」
ひとしきり、俺の事を叩いたりくすぐったりして、満足したのか、智也が椅子に座りなおしてから言った。俺は、笑いつかれて、グッタリと椅子に座り、机に突っ伏した。
もしかして、土曜日の夕方は結構寒かったから、風邪でもひいたのかもしれない……。
眠くて仕方の無かった授業が終わり、部活に出た。
クタクタに疲れきっていたのだけれど、部活の間中もずっと神楽の事が気になって仕方なかったので、気を揉んでいるよりも本人に聞いてみようと思い、学校帰りにメールを送ってみる事にした。
― 珍しいじゃん、休みなんて。風邪でもひいた? ―
その後、ケータイを握ったまま家に帰ったが、いつまで経っても返信メールは来なかった。
家に帰ってから、しばらく自分の部屋で携帯の画面を見つめていた。具合が悪くて寝ているのかも知れないな――気になって仕方が無かったけれど、諦めて携帯をベッドの上に置き、夕食を食いに下の部屋に行った。
夕食後、すぐに、風呂に入り、また自分の部屋に戻ると、突然着メロが鳴り出した。画面には神楽の写真が表示されていた。
「やぁ、立木」
声を聞いた途端、ホッとして胸が熱くなる。
「よう、どうした?」
うれしさと不安が交錯していた。
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