学校から出て、部活の仲間と別れ、藤田の家に向う途中のコンビニで、フルーツゼリーを買った。
花を持って見舞い・・・なんて、ありえないし、恥かしいし、高いし・・・あいつゼリーが好きだし――。
藤田の家に着きチャイムを押すと、いつものように、あいつの母親が笑顔で迎え入れてくれた。
藤田の母親は、俺と馨が恋人同士だって事を知っている。だから、俺は目が合うと、ちょっと照れくさくなってしまう。
何で素直に認めてくれてるんだろう? ありがたい事なんだけど、ちょっと不思議だった。
「馨がね、牧野くんのことずっと待ってたのよ」
ニッコリ笑顔で言われ、俺は思わず顔を覆いたくなる。
「そ・・・そうですか・・・」
「土日も会えなかったでしょ? すごく寂しがってたのよ。まきちゃんとデート出来ないって、グズグズごねていたわ」
「はぁ・・・」
マジでに恥かしい――俺、耳まで赤くなっているんじゃないかと思う。
「どうぞ上がって。もう、熱も無いんだけど、用心のため休ませただけなのよ」
「そうですか・・・じゃあ、お邪魔します・・・」
あいつの母親が、階段の下で俺に向かって手を振っていた。・・・あいつ、絶対母親似だ。
「おい、来たよ」
「入ってよ、マキ」
藤田の声がした。何だよ・・・熱ないなら、ドアくらい開けられるだろ・・・。
「どうだ、馨? もう熱も下がってるんだろ――」
ドアを開けて、部屋に入ると、藤田がベッドの上にパジャマ姿で転がっていた。
パンダの模様のパジャマなんて、この年でどうなんだ? って感じもしつつ・・・まぁ、藤田が着てると可愛いかもしれない・・・。
「うん、全然平気。今日は行きたかったんだけどね、母さんがダメだって言ってさ。もう好い加減、小学生でも無いっていう感じなのにさ――」
「そっか。じゃあ明日は学校行けるんだよな?」
毎日鬱陶しいと思っていたのに、いざ休まれるとかなり寂しかった・・・という事実を素直に認めてしまった俺は、嬉しくてそう言った。
「もちろん行くよ。ねえ、マキ、今日は寂しかった?」
・・・そう、自由に出来るはずだった一日が、退屈で仕方なかったのだ。
「まぁね」
でも、俺の性格上、寂しかったと口には出せない。
「ねぇー・・もっと寂しがってよ」
ベッドの上に起き上がった藤田が、俺の肩に手を置いて、小首を傾げていた。
「アホ」
まるでキスを待っているかのような雰囲気の藤田の頭をコツンと叩いた。
「痛いなぁ・・・」
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