「どうも…お邪魔します」
爽やかなスポーツマンって感じの奴が、玄関先で恥ずかしそうに挨拶をした。
母さんはいつものごとく、姉貴の彼氏を迎えて嬉しそうにニコニコと笑っている。
その横で僕は…『次から次へとすごいよね』って呆れながら、目の前に居る姉貴と、姉貴の隣に居る彼氏の顔を見比べていた。
今回の彼氏は、今までの奴とはタイプが違うみたい――僕はそいつを見ながらボンヤリとそう思った。
まぁ、どんな相手だろうと、僕には関係ないから、全然かまわない。だって、どうせ2〜3ヶ月したら、また別の男を連れて来るんだから。覚えたって意味がない――。
――面倒な所に来ちゃったな――
心の中でそう思いながら、僕は母さんの隣で大人しく黙っていた。
姉貴の彼氏の前に顔を出すつもりなんて全然無かったんだけど、台所に行く途中で思わず出くわしてしまった――って感じなのだ。
無視して通り過ぎたら、後から母さんが絶対文句言うから…仕方が無い――。
「まぁ、いらっしゃい」
母さんが余所行きの顔で、姉貴の彼氏に挨拶していた。
それにしても、母さんも毎回毎回よく付き合っていると思う……と言うか、この人は、超メンクイの姉貴が連れて来る彼氏達を見るのが、楽しみなだけなんだろう。
でも、彼氏が帰った後で、「前の子の方がカッコ良かったのに」とか文句を言うのは、母親としてどうなんだ?って思わなくも無いよな。
「彼ね、山崎卓志(やまざきたくし)君って言うの」
姉貴がいつもよりも可愛らしい声でそう言った。
――あぁ、嫌だ。家に居るときと全然違うよ――
僕は心の中で呟いた。
僕の姉貴は、「顔だけ」は良いから、昔から男が絶えた事が無い。
性格はかなりキツイし、相当弾けている……って思う。
それでも、姉貴と付き合いたがる男は後を絶えないらしい。
彼氏がコロコロ代わるのは、姉貴のワガママナに彼氏達が着いていけないからじゃないか?と思うんだけど。でも、姉貴に言わせると、男に振られた事は無いそうだ。
そんなの信じられない……。振られる前に新しい男を捕まえているとか、二股や三股掛けているんじゃないか――って僕は思うんだけど。
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