「まぁ、良いけど……」
そんなに言うなら……ってあんまり乗り気じゃないフリして、神楽の誘いに乗った。
「ゲーセンによっては、男同士でプリクラ撮れない所もあるんだよ。恋人だったら男同士でも良いんだって。変だと思わない? まぁ、ここは誰でも平気なんだけどさ……」
不意に神楽がそんな事を言った。
「へぇ……そうなんだ? 何でだろな」
「知らないけどさ……そう言うのって、ちょっと偏見チックだと思わない?」
神楽の声に胸がキュッと痛くなった。神楽って物事を真面目に考える奴なんだ……智也とかだったら、男同士なんて、ムサいからダメだって言うんじゃね―のとか言い始めて、話が脱線するに決まってる。
「ん……まぁ……」
「俺達カップルとか思われちゃうかな?」
今度はふざけたような神楽の声が聞こえ、胸がドキドキし始める……あぁ、俺ってもしかして……。
「何言ってんだよ……」
俺が言葉を濁すと、神楽がパッと顔をそむけ、「じゃ、これな」と言って、さっさとプリクラのカーテンを捲って中に入ってしまった。
「待てよ……」取り残されまいと、俺も慌てて神楽に続いた。
プリクラの中は、外から遮断されたような変な空間で、俺は落ち着かなかった。さっきの神楽の発言も気になっていたからなのだけれど。
しばらく1人でキョロキョロしていると、神楽は慣れたもので、既に画面を見ながら何かを始めていた。
「俺が決めていい?」神楽がニッコリ笑って俺に聞いてきた。
俺は微妙な2人きりの世界に慣れないままで、「あぁ、良いよ」って言うのがやっとだった。
「ほら、笑って! 立木」
「え?」
俺がボンヤリしていると、神楽は楽しそうに機械を操作していった。
「はい、チーズ」「じゃぁ、もう一枚ね」「こっちに座って……」
神楽に言われるまま、俺は作り笑顔をしたり、ふてくされた顔をしたり……。
「写真は撮り終わったから」
そう言うと、今度は何やらペンで書き始めた。
「なぁ、何してんの?」
「まぁ、待ってなよ。カワイイのが出来るから」
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