−甘嘘別館−  
♪ハッピーエンドのBL小説を連載します♪

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Author:りょう
BL小説を書いてます。
よろしくお願いします☆
別館では18禁小説は連載しません。
本館へ行かれたい方は、コメント等でお問い合わせ下さい。
(メールアドレスをお忘れなく…)

☆おことわり☆ 
「出会わなければ」には、実在のバンド、メンバーと似た人物が出てきますが、実在の人物とは一切関係ありません。

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教室を出たら・・・6 (牧野)
「あぁ、姉貴・・・彼が牧野だよ」
 藤田がメチャメチャ嬉しそうな顔をして、お姉さんの方を見た。
「どうも・・・お邪魔してます」
 『来てるんだって?』っていう表現が気になったんだけど、とりあえず普通に挨拶すると、 藤田によく似た綺麗な姉さんが、ニッコリ笑って俺のことを見た。

「うふふ・・・いらっしゃい、牧野君。いつも馨がお世話になってます。これからも、仲良くしてやってね」
「あ・・はい」
 藤田の姉さん、何だか含み笑いしてんだけど・・・そう言えば、母ちゃんもそうだったよな・・・。

「牧野君って、カッコ良いね。馨が惚れるのも分かるわ・・・ホント馨は面食いよね。でもまぁ、あたしの彼氏には負けるけど・・・」
 藤田の姉さんがそう言ったかと思うと、俺の肩をポンポンと叩いてから、藤田の頭をグリグリ撫でた。
「イテーよ!姉ちゃん・・・」
 文句を言ってるけど、藤田は嬉しそうに笑っていた。

 ちょっと待てよ・・・藤田の姉貴は、弟が『男に惚れている』事について、何も疑問に思わないのか――って言うか、そういう会話を普通にしているのか?
「母さんも、馨が両想いになって良かったって、言ってたわよ」
 オイオイ・・・やっぱり俺達の関係を母親も知ってるのかよ? 両想いって言ったって、藤田馨は男だし、俺だって男なんだぜ? 息子に彼氏が出来て、「良かった」って言っている親ってどうなのよ?

「牧野君、どうしたの?」
 俺は、1人でパニックに陥っていた。
 だいたい、本人にだって伝える事は無いって思っていた、この世間的には認められないだろうと思われる恋心・・・運良く両想いになれたものの、やっぱり他人に言うのはヤバイだろう・・・って思っているのに、今じゃ、噂話大好きの柿本に知られ、そして、なんと藤田の家族にはバレバレで・・・。
 本当に良いのか? 俺たち・・・

「・・・あの・・・お姉さんも、お母さんも知ってるんですか? 俺たちのこと」
 恐る恐るそう言ったら、藤田も姉さんも、笑い出した。
「そんなの家族なんだから、当然じゃない」
 藤田が不思議そうな顔をしながら、俺の事を見た。そんなの・・・家族だからこそ、言えないって話じゃないの?
「馨ったらねー、いっつも牧野君の事話してたのよ。今日は話が出来た・・・とか、宿題見せてやったとか」
 俺の話が、ごく自然に、食卓の話題に上っていたのか? メチャクチャ恥ずかしいんですけど・・・。
「・・・そ、そうですか」
「昨日は、馨、とってもご機嫌でね。これは牧野君と何かあったなーって思ってたのよ」
 藤田の姉ちゃんがニヤニヤ笑っていた。
「もう、姉ちゃん、恥ずかしいよ・・・」
 そうは言ってるけど、藤田の奴、すごい嬉しそうだし――まぁ・・・反対されてないのは良い事なんだけど・・・。



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教室を出たら・・・5 (牧野)
 結局、俺は藤田の家に寄る事にしてしまった。
別に、藤田のと一緒に居るのが嫌なわけじゃない・・・。ずっと前から藤田の事が好きだったし、絶対ありえないと思っていたのに、晴れて両思いになれたんだし――。

 だけど・・・どこをどう間違えたのか、俺は、華奢で綺麗系の藤田に抱かれる事になってしまった。
思い出しても恥ずかしい・・・昨日の自分が自分では無いような・・・。
 それで――俺のケツは、昨日やった事の名残で、今でも微妙に辛い。
まぁ・・・どう言うわけか、藤田がやけに上手かったから、ケツが切れてるとかいう訳じゃないんだけど、普段そう言う目的で使った事が無いデリケートな場所な訳だから・・・なんて言うか、トイレに行く時も、慎重にしたほうが良いか?って感じだったのだ。

 でも、今日は藤田の母ちゃんが家に居るって事だから、あいつも何もしないだろうし、俺も、あいつが何かしようとしたら、ちゃんと断るんだ。
「まだ痛いし、お前の母ちゃんいるからダメだろ?」って。

 藤田の家に付くと、玄関に出てきたあいつの母ちゃんに、ペコリと挨拶をした。藤田の母ちゃんが、やけにニコニコと迎え入れてくれて、俺は微妙な違和感を感じた。
 まぁ・・・藤田の愛想の良さは、母ちゃんに似たのかも知れない・・・。

 藤田に連れられて、あいつの部屋に入った。ちょっと警戒していたのだけれど、あいつは抱きつきもしなければ、キスしようと迫って来たりもしなかった。
 ホッと安心した俺は、あいつと一緒にゲームを始めた。
その後、本気になってゲームで戦っていて、今までと何も変わりない俺達に戻っていたような気がした。

 2人で並んでゲームに熱中していると、突然、部屋のドアが開いて、誰かが部屋に入ってきた気配がした。
「かおる〜v 母さんに聞いたわよ! 来てるんだって?」
 驚いて後ろを振り向いてみると、藤田の姉さんのニヤニヤ笑っている姿が目に入った。




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教室を出たら・・・4
「はいはい、わかりましたよ、藤田君。ま、どうぞお幸せに。俺は人の恋路を邪魔するつもりなんて、まったくねーから」
 そう言ってクックと笑っている柿本に、俺は密かにムカついていた。
「サンキュー、柿本!」
 俺はイライラ、ムカムカしているっていうのに、藤田は終始嬉しそう・・・。良いのかよ? カミングアウトしちゃってさ・・・これからどうなるんだよ? 俺達――
「テメー、早く消えちまえ」
 俺は、そう言うのがやっとだった・・・

 俺は暫らくの間、口をひらく気にもならなかった。なんか、精神的にも肉体的にも疲れきった感じ。
「やっぱ、俺帰るし」
 藤田には悪いと思ったけど、もう既に限界だ。
「えー? マキちゃん帰っちゃうの?」
 藤田が寂しそうにそう言って、俺の顔を覗き込んだ。
「なんかさ、すっげー疲れた」
 俺は藤田と目を合わせないように、プイッと横を向いた。

「じゃ、やっぱり俺の家で休んでから帰ればいいじゃん」
 ものすごく嬉しそうな声で藤田がそう言った。
 だからぁ・・・それが疲れる原因になるんだろ?
俺は何も言い返せずに、思わず溜息を吐いてしまった。

「ね? 牧野ぉ、怒ってんの?」
 黙り込んでいる俺に、藤田が心配そうに声をかけた。
「・・・ちょっとね」
 重大な事だと思うのに、ペラペラ喋ってしまう藤田が理解できなくて・・・それから、藤田のように能天気でいられない自分がもどかしくて・・・俺は不貞腐れたような声をだしてしまう。
「あの・・・ごめん。だって、俺、今すっげー幸せだから、つい誰かに言いたくなっちゃってさ。大好きな牧野が俺のこと好きでいてくれて、で、お前の事抱けて・・・」
 そうなんだよ・・・不機嫌になってしまう理由の一つに、「藤田に抱かれてしまった」っていう事もあるんだよ・・・。 

「今日は俺がヤル!」って言ったけど、既に疲れすぎて、俺は家に帰りたかった。
「藤田の気持ち分かったけど、やっぱ今日帰るわ」
 そう言った途端、藤田が俺の身体をガバッと抱きしめて、目を覗き込みながら悲しい顔をした。

「お、おい・・・ここ外だし」
「嫌だ・・・帰らないでよ」
 藤田が泣きそうな顔で俺とジッと見つめている。なんだよ・・・お目々ウルウル攻撃なんてすんのかよ・・・。
「ね、何もしないからさ・・・少しだけ俺と一緒にいて?」
 甘えるような声で俺の耳元に囁いた。――う・・・・ダメだ、ずるいぜ藤田――
「わ、分かったよ。本当に何もすんなよ」
 俺は、藤田の泣き落とし?に負けてしまった。
「うん、じゃぁ、ゲームでもやろうぜマキちゃん」
 今度は藤田が、満面の笑みを浮かべて俺を見つめている・・・はぁ・・・惚れた弱味って言うんだろうか・・・。
「まぁ・・・ゲームだけならいいかな・・・」
「やった! さぁ、行こうマキ」
 藤田が嬉しそうに俺の肩に手を回して歩き出した。

 あれ? 何か違うんだけど・・・? 俺、やっぱり受け?・・・



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教室を出たら・・・3
 そんな顔見せるなよ、絶対おかしい、マジに何かが違う。藤田は、どっちかと言うと女顔だし、俺より華奢だっていうのに・・・そんなこいつに、俺がヤラレちまうなんて――。

「俺がヤッても良いなら・・・行ってやる」
 そうだよ、どう考えてもヤルのは俺だろ?
「ホント? 来てくれるなら、俺はどっちでもいいや」
 藤田が嬉しそうな声を上げた。
「・・・なら、行ってやろうかな」
 あんまりあっさり了解されて、実はちょっと焦ったりする。

「ねぇ、その前に、ラーメン奢ってよ」
 藤田みたいに上手く出来るんだろうか――なんて、こっそり悩んでいると藤田がそう言って俺の手をギュッと握った。
「何でだよ? 昨日だって結局奢りなしだし・・・痛てー思いしたし」
「痛かっただけなの? マキちゃん?」
「・・・いや・・・そうじゃないけど・・」
 藤田はずるい・・・そういう顔で見つめられたら、俺、すげー弱いのに・・・。
「ね、マキちゃん? 本当はどうだった? だって、今日は俺がやられるんだろ? そんなに痛いなら・・・ちょっと、考えちゃうよなぁ」
 素直に帰った方が良いかなー? なんて、そんな事言いはじめた藤田に戸惑って、思わず本当の事を言おうとしてしまう・・・。
「そ、そんな事無かったよ。初めは痛かったけど・・・良かった・・・って言うか・・・その・・・」
「そうだよね。マキちゃんすっげー気持ちよさそうな顔してたもんね」
「あのな、そういうのって、あんまり外で口に出して言うなっての」
 何だか俺、もしかして、上手く藤田に乗せられてる?
「いーじゃん。俺さ、あん時のマキちゃんもすっごく好きだよ」
 ・・・天然なんだか、天然ぶってるのか・・・
 まぁ、とにかく、両想いになったってのは事実で、それに関してはすごく嬉しい事に違いない。こうやって今、しっかり手を繋いで歩いちゃってる訳だし――。

「あれー? マキちゃんと藤田じゃないかー?」
 何だかんだ言っても、やっぱり両想いって幸せだよな――って心の中でこっそり思っていると、急に不快な声が耳に届いた。
「マキちゃん言うなって・・・!」
 焦って繋いでいた手を離し、声のする方に振り向くと、まだ学校に残っていると思っていた柿本が、俺達のすぐ後ろに追いついていた。
「ふーん・・・お前ら、そーいう関係だったんだ?」
 柿本がイヤらしい笑顔で俺達の顔を交互に見た。
「なんだ、柿本〜。見られちゃった? そう、俺達ラブラブなんだよねー。ね、マキちゃん」
 藤田がニコニコしながらそう言って、俺の手を再びギュッと握り締めた。

「なんか、マキちゃんは恐い顔してるぜ? 藤田」
 柿本が片眉を上げながらクスクス笑い出した。
「だから、テメーがマキちゃんてよぶなっての!」
 俺は内容を否定する事も出来ず、無愛想にそう言い放った。
「そうそう。俺だけだぜ、マキちゃんて呼んでいいのは」
 相変わらず藤田は嬉しそう・・・
俺、頭が痛くなってきた。どうすれば良いんだ? こういう状況の時って?!



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教室を出たら・・・2
「いいじゃん別に・・・俺らが恋人同士になったこと言ってもさぁ」
 藤田がそう言って俺を見てニッコリ笑った。
そうか・・・俺達恋人同士になったのか? まだ、実感が無い。でも、俺の横の藤田はえらく嬉しそうで・・・隣にいる俺のほうが恥ずかしくなる。
「良くないよ。変な目で見られるぞ・・・」
 俺達の学校は男子高って訳じゃないんだ・・・男同士のカップルなんて受け入れてもらえないような気がする――いや、男子高だったとしたって、どうなんだろう?

「俺、平気だぜ。マキがいてくれたら何も恐くないって感じ」
 藤田が頭の後ろで手を組んで、空を見上げながらそう言った。
「・・・そ、そうか?」
 藤田の天然は何処までなんだか良く分からない。
それとも・・・もしかすると、こいつは俺よりずっと男らしいのかもしれない。昨日だって、結局・・・

「ねぇ、牧野ぉ、今日もうちに来ない?」
 女みたいに甘えた声で藤田がそう言った。隣を見ると、藤田が小首を傾げて俺を見つめている。
「え・・・ダメ」
「何でだよぉ?」
「だって・・・俺、痛てーんだもん」
 そうなんだよ・・・お前のせいなんだからな・・・。
「ふふっ・・・マキちゃん、かわいかったなー」
 不貞腐れている俺に向かって、藤田が嬉しそうに微笑みかけていた。
「・・・可愛かった言うな・・・」
 俺は、恥ずかしくてプイッと顔を背けた。

 そう・・・。結局、昨日ヤラレタのは俺だった。俺がヤルって言ったのに・・・慣れたようなあいつの行為に抗えなかった。
あいつの細い指が俺の中入ってきて動き回り、その後あいつのアレが・・・・・・。
そう考えていたら、俺の後ろのあの部分が急にズキンと痛み出した。
「ね? いいでしょ?」
「よ・・・よくない」
 俺が拒絶したって言うのに、藤田は手を繋いで身体を摺り寄せてきた。
おいおい・・・ここは2人きりになれる場所じゃ無いんだけど・・・。
「ねぇ、キスだけしかしないから・・・おいでよ?」
 藤田が指を絡めてきて、俺の目を覗き込んだ。
「ね?」



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教室を出たら・・・1
「マ〜キちゃん、一緒に帰ろ?」
 放課後のザワザワした教室の中、突然、藤田の脳天気な声が聞こえてきた。
――マキちゃん言うな、俺は・・・身体がだるい、そして・・・痛い――
心の中で藤田に文句を言っていると、俺の横にいたクラスメイトの柿本が訝しげな顔をして俺を見た。
「なぁ、牧野・・・お前いつの間にマキちゃんになったんだ?」
 微妙に何かを探るような柿本の視線・・・俺はその視線に負けまいとして、柿本をキッと睨み、不貞腐れた顔をした。
「知るか。藤田が勝手に言い出した」
「何だよ? 牧野ぉ・・・今日は不機嫌じゃん。元気も無かったし・・・休み時間も教室にいただろ? どっか具合悪いとか?」
 柿本が今度はやけに心配したような声を出した。何だか胡散臭いよな・・・こいつって。

・・・まぁ、確かに具合は悪いさ。でも、病気とかなわけではない。
「それが、ちょっと俺のせいでね・・・」
 いつの間にかすぐ側にいた藤田が、嬉しそうな顔をして、俺の隣に座り込んだ。
「藤田・・・テメ・・・」
 能天気な笑顔を向けている藤田に、俺は視線で「余計な事言うな!」と訴えた。
「何だよ、藤田? お前のせいで牧野がどうしたんだよ?」
 柿本が俺達の様子を観察しながらそう言った。もう・・・勘弁してくれ・・・体が辛いだけじゃなくて、気分まで滅入りそうだ・・・。
「それがさぁ」
 藤田の奴は、焦っている俺の気持ちになんて、全然気付いてない・・・って言うか、お前のやった事はペラペラ人に話していい事じゃないと思うんだけど?!

「おい、藤田・・・」
 藤田のアホが俺達の関係を柿本に話してしまうと思い、俺はメチャクチャ焦っていた。
「それがさ、昨日の帰りに俺、階段の上の方でつまづいて落ちそうになったんだよ。で、その時偶然マキちゃんが近くに居て、俺の事かっこ良く助けてくれようとしたんだ」
「ふーん。ヒーロー登場って感じ?」
「そうそう。だけど、結局2人とも落っこちちゃってさ。それでマキちゃんが俺の下敷きになっちゃった――ってわけなんです」
 藤田がニコニコとそんな作り話をした。
「へー、そうなんだ? そりゃ災難だったな、牧野――」
 柿本は、単純に藤田の話を信じてくれたようだった。
「・・・まぁな」
 俺はホッと胸をなでおろした。それにしても、よく口からでまかせを言えたもんだ・・・。
「さ、帰ろーよ。マキちゃん」
 藤田が嬉しそうに俺の腕を引っ張っている横で、相変わらず柿本が、俺達の様子をと観察していた。
「なぁ、お前らって一緒に帰ってたっけ?」
 柿本の言葉に、俺は一瞬ビクッと反応してしまった。
「ん? 昨日からね。だって俺達・・・」
「ほら、帰るぞ藤田」
 藤田が余計な事を言い出す前に、俺は藤田の腕を引っ張って教室を出た。




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放課後の教室で・・・6(牧野の気持ち)
「お前、ラーメン奢ってくれんだろ?」
 暫らく何をしゃべって良いのか困ってしまい、黙ったままだったのだが、俺は沈黙に耐えかね自分から藤田に声をかけた。
「え? ラーメン食べるの?」
 俺の隣から、藤田の恍けた声が聞こえてきた。
「奢るっていったじゃん、お前」
 不貞腐れたように言ったら、藤田がクスッと笑った。

「俺の事犯すって言ったじゃん・・・やらないの? それとも、ラーメンの後?」
 ・・・なんだよ、この藤田の反応? 「犯す」ってどういう意味で考えてんだよ?
「なぁ、藤田、聞くけどよ、お前の好きな奴って誰なんだよ?」
 まさか・・・って思いで藤田に聞いてみた。微妙に胸がドキドキしているんだけど・・・期待しても良いのだろうか?
 確かに俺は「同じクラスの藤田が好きだ」と言った・・・それに藤田が答えてくれている・・・とか? それとも、藤田って男とやるのが好きな奴だとか?

「ん? 聞きたい?」
 藤田が俺の大好きな可愛い笑顔を向けた。
「まぁな」
 聞きたくてしょうがなくて、胸がドキドキしているんだけど、俺は素っ気無い答え方をしてしまう。素直じゃないんだよな・・・俺って・・・。
「俺の好きなのはね」
 そう言ってから藤田が「ふふっ」と笑った。その笑いは何なんだよ?
「好きなのは?」
 思わず食いついてしまって、自分でも焦る。知りたいような、このまま駆け出してしまいたいような・・・
「俺の好きなのは牧野」
「え?」
「1年の牧野ミドリじゃないよ。俺と同じクラスの牧野」
 相変わらず藤田は、可愛い笑顔を俺に向けたまま・・・そして俺はアホみたいに、その笑顔を見つめている・・・。頭の中は真っ白・・・そして、多分顔は茹蛸のように真っ赤なんだろう。
なんだよ、藤田・・・それ、マジなの?

「今日さ、親父とお袋、帰るの遅いんだよ。だから、姉貴も彼氏ん所行ってるはずだし・・・。ねぇ、俺んち来ない? まきちゃん・・・」
 ドキッとするような事をサラッと言いやがった。何だか慣れてるっぽくて、少しイヤなんだけど・・・。
「・・・」
「俺さぁ、ホントはヤラレルより、ヤリタイかも・・・」
 藤田が俺の肩に手をまわしながらそう言った。




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放課後の教室で・・・5(牧野の気持ち)
 まったく・・・今日の藤田は、やけにしつこい。さっさと帰ればいいのに俺の事を待ってるようで落ち着かない。
今まで、出来るだけ藤田と2人きりにならないように、気を付けてきたって言うのに・・・。

 藤田ったら、俺の前に座って、ベラベラ喋りながら俺の邪魔をした挙句、俺の好きな奴が誰かとか聞き始めた。
 あのなぁ・・・何で俺がお前と2人きりにならないようにしていたと思う? じゃれてくるお前に冷たくしていたのだって・・・。
 あーぁ・・・好きな奴の話なんて、俺がずっと黙ってようって心に決めてた話なんだよ。
それなのに、しつこくしつこく聞いて来やがって・・・。あまり藤田がしつこいから、言ってやった。
俺の好きなのは、同じクラスの『藤田』だって事――お前だよお前。これで満足したか? 好きな奴の名前を聞けて・・・。

 はぁ・・・俺達の友達関係も、今日で終わりかもな。しつこいからって、言うんじゃなかった・・・って後悔したのに、「犯されたくなかったら、帰れ」なんて余計な事を言って教室を出てきてしまった。
 短気は損気――だよな・・・。先生に日誌を渡しながら、「明日からどうするか?」なんて密かに悩んでいた。・・・あぁ、そうだ、「あんなの冗談だよ」って笑ってやればいいか・・・。
 明日会ったら、「本気にするなんてバカじゃねーの」って言ってやろう。そうすればまた、いつもの友達関係に戻れるはずだ。

 そう思ったら気分が軽くなった。いつもそうじゃないか、俺がどんな冗談言ったって、きつい事言ったって、あいつはサラッと流してくれる。つーか、超天然だから、翌日には忘れているかもしれない。
 さて、教室に戻って、帰る用意しよう。

 教室のドアを開けると、藤田がさっきと同じ椅子に座っていた。
な、なんだよ? 帰ってねーじゃん・・・これってどういう事? あまりにも驚いて、腰が抜けているとか?
「牧野〜終わった? 帰ろうぜ」
 藤田が能天気な声でそう言った。
「あのな、帰ろうぜって・・・お前どういうつもり?」
 俺はちょっと焦って言い返した。
「えー? 一緒に帰るつもり。いいでしょ?」
「まぁ・・・いいけど」
 多分、天然の藤田の事だ、俺が言った意味が、よく分かってないに違いない。ま、それならいいか。
 鞄を持ち、教室を出ると、藤田と一緒に廊下を歩き出した。




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放課後の教室で・・・4
 俺が色々話し掛けても、牧野は何も答えてくれなくなってしまった。
マジで怒らせてしまったのかな? ちょっと心配になってきていると、日誌を書き終えた牧野が、急に顔を上げた。
 怒鳴られる? そう思って身をすくめていると、牧野の小さな溜息が聞こえてきた。
「知りたい?」
「え? な、何を」
 散々聞いておいて、質問するな・・・と心の中で自分に突っ込みを入れつつ、引きつった笑顔で牧野を見上げた。
「何を――って、ボケ。お前が聞いてきたんだろ? 好きな奴誰かって」
 牧野が日誌を閉じて、席を立ちながら言った。
怒っているのか、呆れているのか――牧野は俺の顔を見ながら、もう一度溜息をついた。

「そ・・・そうだけどさ」
 急に言う気になったんだ? って俺がしつこかったからか・・・。あぁ、でも、心の準備が・・・ってそんなのとっくに出来てる筈だったのに・・・。
そうだよ、誰の名前を聞いても、俺は笑って牧野をからかってやるんだ・・・「まねするなよ・・・」って。

「あのな、俺の好きなのって、藤田」
「え? あぁ、1組の藤田実月ちゃんか? あの子可愛いよね。実は俺も・・・」
 一瞬焦って間が空いてしまった。・・・そうだよ、牧野の好きなのは可愛い女の子の筈・・・。
 萎えそうになる気持ちを奮い立たせ、笑顔で牧野に予定通りの事を言おうとした。
そんな俺に、牧野が呆れたような顔を向けた。
「違うっての。俺、あーいうの嫌いだぜ、アホみたいで」
 あれ? そんな事言っちゃうんだ? やっぱり牧野って意地悪だよなぁ・・・
「牧野ってキツイよなー。可愛いじゃんあの子・・・天然っぽくて」
「天然なんてお前だけで充分だぜ」
「ハァ? なにそれ・・・じゃさ、3年の藤田由希先輩?」
「それって、お前の姉貴じゃん。アホかお前。姉貴に先輩とかつけるな」
 俺が知ってる藤田って言ったらその位しか居なくて・・・。
「だって他には・・・」
 他には・・・他には・・・

「俺と同じクラスの藤田」
 牧野が放心状態の俺の頭を、日誌で叩きながら言った。
「え・・・藤田って女いないじゃん」
 ウソ・・・涙出そうなんだけど・・・
「お前ね、犯されたくなかったら、俺が職員室に行ってる間に帰れっての」
 牧野が吐き捨てるようにそう言って教室を出ていってしまった。




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放課後の教室で・・・3
 教室内を見回してみると、数人残っていたクラスメイトもいつの間にか、皆いなくなっていた。
広い教室に牧野と俺だけ。胸がドキドキする・・・こんな事初めてだもんな。

「なぁ、牧野、ところでさ、お前の好きな奴って誰?」
 突然話を振ってみる。本当はずっとこの話題がしたかったんだ・・・。
「なんかお前の話って、あちこち飛び過ぎじゃねーの・・・」
 少し間があった後、牧野の呆れたような声が聞こえてきた。
「いいじゃん、教えてよー。俺のも教えるからさ」

 ホントは俺の好きな奴の名前は教えない。絶対教えない・・・。
牧野が好きだって言った子の事を、俺も好きだって言うことにして、「まねするなよ!」って言ってやるんだから・・・。

「誰だっていいだろ。お前には教えない」
 その「お前には教えない」って、「俺だけ限定」なのが結構キツイなぁ・・・って思うんだけど、俺のキャラはそんな事じゃメゲナイ、明るく前向きなやつ。
「何だよそれーケチくさいなぁ」
 そう言って俺は牧野の頭をクシャクシャっと撫でる。
牧野に触った事って、何回あっただろう・・・何か、嬉しいかも――なんて感慨に耽っている俺を他所に、牧野は黙ったまま日誌を書いている。
もうそろそろ出来上がりだろうか?

「聞いてどうすんの?」
 暫らく黙っていた牧野がそう言って、手を止め、俺を見た。
「どうすんのって・・・友達同士ならそんな話するじゃん普通。ね、教えてよー」
 牧野の視線に微妙に照れつつ、そう言ってから、もう一度牧野の頭をグシャグシャっと撫でた。

「俺、お前の事、友達だと思ってねーもん」
 牧野がそう言いながら俺の手を払い除けた。
 友達だって思ってたの俺だけなんだ――ってちょっとショックなんだけど、口の悪い牧野なら言いそうな事だよね。これが牧野なんだもん――。

「牧野くん・・・それって結構寂しいんだけど? なぁ、何でもいいからさぁ、教えてよ〜誰?」
「俺は寂しくない・・・って言うか、一人にして欲しいんだけど?」
「嫌だ。一人になんてしてやらない」
 メゲナイ前向きの俺が一生懸命、牧野に食い下がる。

「ウゼーなー・・・お前・・・女みてーだぜ」
 しまいには、そんな事を言われてしまう・・・明るい俺だって、ちょっとはヘコムっての。・・・・・・マジ、女だったら良かったのかな・・・・・・俺。
「良いじゃん、減るもんでもないしさぁ」
 もう、こうなったら聞いてやる! って思って何度か声をかけたけど、牧野は黙ったままだった。
微妙に青筋が立ってるような気もするんだけど・・・。


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放課後の教室で・・・2
 さっきから俺は、牧野の前の席に後ろを向いて座って、牧野が日誌に書き込んでる文字をじっと眺めていた。
「牧野って、字綺麗だよなー」
 その無愛想な態度に似合わないような、丁寧で優しい字だと思うよ。
「あー、小学校の頃、書道教室行ってたし」
 牧野と習字って言うのも、結び付かなくて、不思議な感じ。でも、牧野について何か知る事が出来るのは、かなり嬉しい。
「へぇ・・・そうなんだ?」
「そうなんだよ。そう言えば、お前はきったねー字書くよな、顔はわりかし綺麗系なくせに。そのギャップ、結構笑えるぜ」
 牧野が顔を上げずに一気にそう言った。やっぱり、いつも通り口が悪い・・・。
だけど、俺の字が汚いことを知っていてくれるっていう所が、俺としては嬉しいポイント。
 それから・・・顔が綺麗系だ・・・なんて言ってくれてさ・・・。

「ウルセーな、ほっといてよ」
 一応文句を言っておくけど、実は嬉しくてニコニコしている。
だって、普段は二人きりになるような事が殆ど無いから。
もしかしたら俺は嫌われているのかも? って思うくらい牧野は俺に冷たかったりする。
「だから〜、ウルサイって思うなら帰れっての」
 帰らないよ! 今日は「チャンスだ!」って思ってるから、何て言われても纏わりついてやる。
「だって、一緒に帰る奴いないんだもん」
 そうじゃなくて、本当は牧野と一緒に帰りたいんだよ。

「何言ってんだよ・・・誘われてたのに、一緒に帰らねーからだろが」
 牧野は相変わらず下を向いたまま、イライラしたような調子で俺に言い放った。
「ちくしょー、間違えちまったじゃん。お前、いいかげん帰れよ。気が散るんだよ」
 顔を上げ怒ったような表情をした牧野が、キッと俺を睨んだ。
だけど、俺はそれにもめげず、話を続けた。
「なー牧野ー、帰りにラーメン食おうぜー。俺、奢るからさあ」
 そう言った途端、牧野の表情が少し柔らかくなった。それから、また、下を向いて日誌の続きを書く。
「どうすっかなー」
 ちょっとだけ声のトーンが変わった。牧野は食い物に弱いからなー。


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テーマ:BL小説 - ジャンル:小説・文学

放課後の教室で・・・1
「まきのー? まだ終わらないー」
 俺が顔を覗き込むと、牧野は不機嫌そうな顔をして、ジロリと俺を見た。
「別に待ってなくって良いってば」
 予想通り冷たい声で牧野が言い返した。
「だってさー、つまんねーんだもん」
 牧野が素っ気無いのなんて、今に始まった事じゃない。時々メゲルけど、それでも俺は犬のように尻尾を振りながら(?)牧野に纏わりつく。

「誰かと帰れば良かったじゃん。谷村とかが誘ってたじゃねーか」
 放課後の教室に牧野と俺が居る。他のやつは殆ど帰ってしまって、あと数人が帰る用意をしていたり、友達同士で喋ったりしていた。

「牧野って、いつもはテキトーなのに、日直の仕事はちゃんとやるんだなぁ」
 本当は几帳面なのを知っているけど、知らない振りをする。
「ウルセーなぁ。俺はいつだって真面目なんだっての」
 「真面目」とはちょっと違うような気もするけど、良い奴だって事は知っているよ。

「なぁ、日直のもう1人の奴えっと三田だったけ? あいつはどうしたんだよ? お前だけでやる事ないじゃん」
 牧野ったら、そうは見えないけど、結構お人好しなんだから・・・ちゃんと三田にも遣らせないとダメじゃないか・・・。
「あいつは部活に行ったの。午前中はあいつが殆どやったからいいんだよ。分担作業だってば」
 何だ・・・そうなのか。やっぱり牧野って良い奴だよな・・・。でも、俺には微妙に冷たいんだけどさ。
「ふーん、そっか。さすが、牧野だね」
 褒めてあげたら、牧野が急に顔を上げて、驚いたような顔をした。それからすぐにまた、下を向くと、日誌を書き始めた。
 微妙に耳が赤く見えるんだけど・・・照れているのかな・・・。



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出会わなければ 133 (最終回)

□■□■□■□■

・・・・・・
  俺は、数年前、偶然ある人と出会った。
その人との出会いが無かったら、こんな風に自分の事について考えてみようと、思わなかったかも知れない。

 俺、澤井瞬は、その人の事をとても愛してる。
その人も俺の事を愛してくれていた。だけど、俺達は友達以上になれない――。とても悲しいけれど、これが現実。

 その人との出会いによって、今までわからなかった事が初めてわかったような気がする。
それは、誰かを「愛する」という事。

 愛は、お互いの事を思いやって、相手を幸せにしたいって思う気持ちであって、どちらか片方だけが幸せを与えるものじゃないんだって。
その事は、過去のある経験から、人を愛する事が出来なくなっていた俺にとって、すごい衝撃だった。
愛の詩を色々書いてたけど、本当の愛じゃなかったんだ・・・って思った。
 人を愛せないでいた俺は、相手からの愛を受け入れる事で、相手を愛しているつもりになっていた。
多分、俺は愛を受け入れていたけれど、愛に応えてあげていなかったんだ。だから、幸せにしてあげられなかったんだと思う。ごめんね、みさ。
 それから、タカト、本当の「愛」を教えてくれて、ありがとう。今でも君を愛しているよ。

 最後に、みんなに伝えたい。Sabelのシュンを愛してくれて、ありがとう。たくさんの人達に言いたいと思ってる。本当に・・・感謝してます。
 俺がこうして、大好きな音楽と共に過ごせるのは、メンバーのリュウ、サチ、ナツをはじめとする、俺の周りにいる全ての人たちのおかげだと思っています。

 これからも頑張ります!           澤井 瞬


■□■□■□■□



 最初は、ソファーに寝転がって読んでいたのけど、いつの間にか、きちんと座って原稿用紙をめくっていた。
胸が熱くなってくる・・・こんな事書いちゃって、まったく・・・シュンは・・・。
 シュンのこんな告白を目にしたら、絶対シュンに落ちていただろう・・・。
もしまだジョアンと付き合ってたら、修羅場を迎えたに違いないな・・・。

 愛しくて愛しくて仕方が無いシュンに、今すぐ会いたくなった。
今日も、ここに帰ってくるはず。

 嬉しそうに荷物の入った鞄を抱えた彼が、玄関から飛び込んでくる姿が目に浮かぶようだ・・・・・・。




「ただいま! 鷹人!」
「お帰り。シュン」
「ほら、見てよ、洋服と、靴と、これが・・・」
「ねぇ、シュン、こっちの荷物はどうするんだよ・・・」
 伊東さんが額に汗を滲ませながら、重そうなスーツケースを運んできた。

「ありがとう、伊東さん。感謝してるよ。後は鷹人と2人でやるから。帰ってゆっくり休んで」
「分かりました。シュンも今日は早く寝てくださいよ」
「へへ、分かってるってば。えーと、明日は・・・」
「明日は、10時に迎えに来ればいいんですよね」
「うん、そう。よろしくね」
「はいはい・・・」
「あ・・・お疲れ様です、伊東さん・・・」
「いえ。それじゃ渡辺さん、シュンをよろしくお願いします。あの、えっと・・・」
 
「何だよ、伊東さん?!」
「あの・・・程々にして下さいよ」
 顔を赤くした伊東さんは、そういい残すと、急いでエレベーターの方に去っていった。
俺とシュンは2人で顔を見合わせて、笑ってしまった。

「愛してるよ鷹人」
「俺もだよ。シュン」
 この愛は永遠だよ。あの日、出会えて本当に良かった。
 誰よりも愛している・・・もう離さないからね。
 何があっても、どんなに辛くても、今度は逃げないで2人で乗り越えよう。

 シュン、幸せになろうね



・・・おわり・・・


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出会わなければ 132
 シュンが出かけた後、軽く朝飯を食べてから、洗濯機を回しながらシャワーを浴びた。
 シャワーを浴びてスッキリした後、やりかけの作品に取り掛かると、あっという間に午前中が過ぎて行き、空腹なのに気がついたのは午後3時近かった。

 近くのコンビニに弁当を買いに行くと、Sabelの写真の載った雑誌がガラス窓の中に並んでいるのが目に付いた。
 俺といる時の子供のようなシュンと違って、本当に別人のように澄ました顔をしている。
このシュンが・・・俺の恋人か・・・・・・。嬉しくて思わず一人でニヤケてしまいそうになり、慌てて頭を振ると、弁当を買うためにコンビニの中に入っていった。

 家に帰って弁当を食べ終わると、休憩をかねて、シュンの原稿を読んでみることにした。どんな絵を描いたら良いのかどうか、原稿を読んでみたら少しは想像がつくかもしれない。
ソファーに寝転ぶと、シュンの字を目で追った。

 そこには、シュンが子供の頃に体験した事や思っていた事、大人になってから影響を受けた人、音楽と自分、音楽以外で興味を持っているものや様々な人との出会い、その他色々な事がいくつかの項目に分けて書いてあった。
 所々に、俺に描いて欲しい絵のタイトルと雰囲気までもメモされていた。作曲やレコーディングで忙しかったはずなのに、かなり細かく書き込まれていて、シュンの何事にも手を抜かない、一生懸命な姿を見れたような気がして嬉しかった。

 原稿のあちこちには、色つきのペンで、伊東さんのコメントらしいものが書き込んであった。
 俺が読んでも、これはマズイんじゃないか・・・って思う文章もあったりして、その部分には、やはり赤い斜線が引いてあった。
ファンの子には、いや・・・俺にとっても、かなりショックな話も書いてあったから。
正直すぎるのもちょっと困るな・・・。

 そして最後に、俺の事が少しだけ書いてあった・・・



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出会わなければ 131
 服を着替え終わったシュンが、伊東さんと一緒に玄関に向った。
「そうだシュン、これ、預かってたやつ。書き直しするんだろ?」
 伊東さんが鞄から書類封筒のような物を取り出した。
「そうそう。あ、そうだ、鷹人これ読んでおいて。本の下書き。まだまだ、直すんだけど、こんな感じなんだ。後で俺も読みな直すから・・・」
 シュンが、伊東さんから受け取った封筒を俺に渡した。
「分かりました。読んでおきます」

「じゃあ、行って来るね」
 シュンが可愛らしく手を振った。
「いってらっしゃい。頑張ってください」
「うん頑張るよ。あ、そうだ、今日も来るからね。今日は、一度家に寄って着替えとか持ってくるから、少し遅いかも」
 玄関を出かけたシュンが振り向いてそう言った。何だかすごく照れてしまう・・・。
「・・・わかりました」
「鷹人! もう、さっきから敬語ばっかリ。イヤだなぁ」
 急にシュンが剥れたような顔をして、そう言った。
「でも・・・あの、伊東さんも居るし」
 俺が伊東さんを見ると、伊東さんは困ったような顔をしながら、俺たちに背中を向けた。
「あー、えっと、私、聞こえませんし・・・何も見てませんから」

「それじゃ・・・行って来るね。鷹人」
「頑張って」
 そう言った俺に、シュンは柔らかく微笑むと、両腕を俺の身体に巻きつけ唇にキスをした。
「ほら・・・もう行きますよ」
 背中を向けていた伊東さんが、溜息を付きながら、俺たちの長い長いキスにストップを掛けた。
「ごめん、お待たせ。今日も張り切って歌うぞ」
 シュンが嬉しそうにそう言った。
「よろしく頼みますよ。あと2週間の予定ですからね」
「えーまだそんなにあったっけ? ねぇ、レコーディング終わったら、一週間休みちょうだいよ」
「ダメです。先週渡したスケジュール通りですからね」
「ちぇ」
 エレベーターに向うシュンが、笑顔で俺に手を振っていた。



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出会わなければ 130
「あの、渡辺さん、良いんですよ、謝らなくても。別に、恋愛してはダメとか、そんなの無いですから。みんな、もう充分大人ですし・・・」
 伊東さんがシュンを見てから、恐縮している俺に向かって苦笑した。
「はい・・・」
「でもなぁ・・・サチも、シュンも、どうして、相手が同性な訳? まぁ、それは置いといて、シュンは離婚の話の後だからなぁ。もう少し大人しくしてた方がいいと思うんだけど。って言っても無理そうだよな」
 拗ねたような顔をしているシュンを見て、伊東さんが笑いながらそう言った。
「ま、1人も2人も一緒だよね。いや待てよ、バンドのメンバーがみんな男と出来てる、とか思われるかもしれないなぁ。リュウとナツも実は・・・なんてさ」
 ヤケになった感じの伊東さんが、そう呟いてから頭を振った。
「同性同士の恋愛に偏見を持っちゃいけないと思うなぁ、伊東さん。まぁ、偏見のある人も居ると思うから、色々よろしく頼むね。俺は何を言われても平気だけど・・・鷹人には迷惑かけたくないし――」
「まぁ・・・渡辺さんには渡辺さんの生活がありますからねぇ・・・でも、シュンだってそうですよ」
 伊東さんが頷きながらそう言った。
「・・・俺は、大丈夫です。俺の方は、恋人が同性だとしても、全然仕事に影響ないと思います。顔が知れてるわけでもないし。心配なのは、シュンさんの方です」
「そうですよね・・・何かあったら、私も出来るだけの事はします。だから、シュンもなるべく協力的にね」
「もちろんだよ」

「それにしても、シュン。絵だけじゃなくて、渡辺さん自身に惚れ込んでいたんだ? どうりであの時・・・」
 伊東さんが、何かを思い出したような表情をした。
「あの時?」
「渡辺さんの個展に行った後のシュン・・・すごかったんですよ」
 思い出し笑いをしている伊東さんの肩を、シュンがポンと叩いて人差し指を口に当てた。
「それは内緒――とにかく、俺、すごい幸せなんだから」
「はいはい、わかりました。さて、行きますよ。この事については、時間のある時に話し合っておかなくちゃいけないですね」
 幸せそうなシュンの横で、伊東さんは溜息を付きながら微笑んだ。

「あ、そうだ、鷹人の服、借りて良かったの?」
「そのつもりで置いておいたんですけど・・・そんな格好で出てきちゃうんだから」
 シュンが華やかに笑いながら着替えに行った。その様子を見て伊東さんが、やれやれ・・・って顔をした。
「何だか、別人を見てるみたいです。シュンって、あんな感じの人だったんだ・・・」
「・・・」
 俺は、リュウが前に言っていた事を思い出していた。
  −あんな子供みたいなシュンの姿見れたの、あの頃だけだかな−
 俺がシュンを変える事が出来るのかと思うと、すごく不思議な気分だった。



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出会わなければ 129
 どうやら、伊東さんは俺の家だって知らずに迎えに来たらしい。
「どうも、おはようございます・・・伊東さん」
「おはようございます。あの、えっと、シュンは・・・」
「シュンさんは、今ちょっと、シャワーを浴びてます」
 俺の言葉に伊東さんが申し訳け無さそうな顔を向けた。
「そうですか・・・朝からすみません、昨日シュンが、こちらの住所に迎えに来るように言ってたもので・・・」
「・・・あの、上がってください。シュンさん、もうすぐ出て来るんじゃないかな?」
「はい・・・それじゃあ、おじゃまします」
 

 居間に入って、伊東さんに椅子をすすめていると、フロ場のドアが開く音に続いて、シュンの声が聞こえてきた。
「ねぇ、鷹人ー、誰か来たの?」
 シュンのその声に、伊東さんが俺の顔を見ながら首を傾げた。
「えっと・・・あの」
 俺は、伊東さんの顔と、シュンの声のする方を交互に見て苦笑した。
「鷹人ったらー」
 シュンが甘えた声でそう言いながら、裸のままタオルを首に掛けた格好で、居間にやって来てしまった。着替えを置いておいたのに・・・。
「あー、おはよう、伊東さん。もう来たんだ・・・ありがとね」
 シュンは伊東さんを見ても、何も気にしていない様子でそう言った。
「おはよう、シュン・・・って?!・・・なぁシュン、あの、それ・・・」
 そう言った伊東さんは、シュンの体のあちこちにある赤い痣を、驚いたように見つめていた。
「あ、あの、すみません」
 伊東さんが俺とシュンを見比べているので、俺は思わず焦って、謝ってしまった。
「鷹人、何謝ってんのさ? 良いんだよ、俺がやりたいって言ったんだから」
 シュンが口を尖らせながらそう言った。
「ちょ・・・ちょっと待って。やりたいって、シュン? あのさ、渡辺さんとは一体どういう関係なわけ?」
 シュンの態度に、伊東さんが慌てたように立ち上がった。
「あれ、言わなかったっけ? 付き合うことになったって」
 シュンは照れるような様子も見せず、裸の身体をさらしたままだった。見ている方が恥かしくなってしまう・・・。
「付き合うって、仕事以外でも友達付き合いするようになった――って事だと・・・・・・」
「違うよ。ちゃんと言ったでしょ? 俺の本の原稿に、愛してるけど恋人になれない人が居るって書いたけど、その辺を訂正しなくちゃって。その人と付き合うことになったからって」
「その原稿の人と渡辺さんが同一人物だって、言ってましたっけ?」
「・・・どうだったかな? 忘れた。とにかく、俺たち恋人同士になったんだ」
 シュンがそう言ってニッコリ笑顔を向けた。
「あの・・・すみません」
 俺は伊東さんの困った様子を見て何だか申し訳なくなり、ペコリと頭を下げていた。



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出会わなければ 128
 眩しくて目を覚ますと、横にシュンが眠っているのを発見し、俺は慌てて時計を見た。
「うわ・・・まずい」
 寝る前に目覚ましをセットしておいたつもりだったのに、いつの間にか止めてしまったようだ・・・。
俺は急いで、隣にいるシュンに声をかけた。
「シュン・・・起きて。ごめん、8時半過ぎてるよ。とにかくシャワー浴びないと・・・」
 声をかけながら身体を揺すると、シュンが眠そうに目を瞬かせた。
「んー」
 シュンが伸びをしてから起き上がり、俺の首に腕を回してきた。
「おはよう、鷹人。まだ眠いよ・・・」
 そう言ってからシュンが、俺の唇にチュッと音を立ててキスをした。
でもその後、すぐにベッドに寝転がると、また目を瞑ってしまった。

 なんて可愛いんだろう? この可愛いシュンが俺のものだなんて・・・幸せすぎて、顔がニヤケてしまう――イヤ待て、惚けている場合じゃない・・・シュンを起こさなくちゃ。
「シュン、起きて・・・ほら、昨日そのまま寝ちゃったでしょ?」
「んー・・・いいよ・・・このままで。鷹人の匂いに包まれてたい」
 イヤ、何かすごい嬉しいんだけど・・・
「ダメだって、ほら起きて。何か食べていく? 用意するけど」
 シュンの身体を抱き起こそうとすると、やっとの事でシュンが目を開けた。
「わかったってば・・・起きるよ。朝ご飯はいらない・・・むこうで食べられるし」
「りょーかい。さ、起きて」
 寝惚けているシュンをベッドから連れ出し、フロ場に行った。シュンをフロ場に押し込むと部屋に戻り、俺の服の中から、小さめの物を選んで脱衣所のカゴに置いた。少し大きいかもしれないけど、まぁ、良いか・・・。

 一息ついて、コーヒーでも入れようとしていると、玄関のベルが鳴った。
朝から一体誰だろう――
「あの、伊東と申します。すみませんが、そちらに澤井さんは・・・」
 伊東さんって、もしかして、シュンのマネージャーの伊東さんだろうか?
「はい・・・います。今開けます」
 玄関を開けると、そこに居たのは、やはりシュンのマネージャーの伊東さんだった。
「あ、あれ? 渡辺さんのお宅だったんですか?」



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出会わなければ 127
 薬を付け終ると、シュンがコンビニの袋を持って立ち上がった。
「さぁ、鷹人・・・」
「・・・・・・」
 シュンが俺に向かって手を差し出し微笑んだ。俺は初めて会った時の事を思い出して、胸がいっぱいになってしまった。
「どうしたのさ? 鷹人」
 胸を押さえている俺を見て、シュンが心配そうな顔をした。
「何でも無いよ。幸せで胸がいっぱい・・・って事」
 俺は差し出されている手をギュッと握って立ち上がり、シュンの隣に並んだ。
「・・・俺も幸せ・・・」
 シュンが俺の手を握り返し、そう答えてくれた。

「えっと、ところでシュン、明日は何時出発?」
 レコーディングには遅刻させる訳にはいかない――サチと進藤のニヤケ顔がちらりと頭を過ぎった。
「ここを9時に出る予定だよ」
 よし・・・絶対、1回だけだぞ・・・心の中で一生懸命自分に言い聞かせる。
「そう、分かった。俺が起こしてあげるから」
「うん、ありがと・・・。ほら・・・早く、行こうよ」
 俺は、シュンに引っ張られながら寝室に向かった。

 こんな日が来るなんて、思っても居なかった・・・本当に夢じゃないだろうか? ベッドを見つめ、そう思って惚けていると、シュンが袋をベッドの枕もとに置き、俺の腰に腕を回した。
「鷹人・・・愛してる。ずっと傍にいてくれよ」
 あぁ、本当に・・・夢じゃないだ!? 腕の中にピッタリサイズのシュンが俺の目の前に居て、俺に「愛してる」って言ってくれて・・・俺達これから抱き合うんだ?!
「シュン、俺も愛してる――これからもずっとね」
 シュンの体を抱きしめキスをした。体中が蕩けてしまいそうな程甘いキスだった。


 シュンの身体を抱き上げ、ベッドに下ろすと、シュンがコンビニの袋の中から小さな四角い箱と、ローションを出た。袋の中にはそれだけしか入っていなくって、いかにも、「これからやります!」って感じがしてしまい、シュンがコンビニで買い物している姿を思い浮かべると、思わず顔がニヤケテしまった。
 あの服装だったら、シュンって多分気付かれないと思うけど・・・気付かれたら大変だろうなぁ・・・。
シュンって意外と大胆だよね――。
「鷹人? 何か別の事考えてない?」
「そんな事ないよ。シュンの事だけ考えてるよ・・・」



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連休中です・・・
連休中は更新お休みします・・・
ゴメンなさい・・・
多分、月曜日(7日)には続きをUPします。
出会わなければ 126
 シャワーから上がってきたシュンが、タオルを肩に乗せたまま居間にやってきた。
「パジャマ使ってくれて良かったのに・・・」
 俺は、身体を拭いているシュンから目を逸らした。
「パジャマなんて要らないじゃない・・・」
 シュンがニコッと笑いながら、タオルを腰に巻きつけた。
「シュン、やっぱり無理はダメだよ。レコーディングが出来なくなったら・・・」
 俺は焦って、シュンを説得しようとした。
「鷹人ったら・・・考えすぎ。裸のまま抱き合って眠りたいだけだよ」
 シュンにそう言い返され、俺は恥かしくなり頭をポリポリと掻いた。
「・・・そうですよねぇ・・・」

「鷹人?」
 恥かしくて俯いていると、シュンに肩を叩かれ驚いて顔を上げた。
「何?」
 シュンが俺の目をジッと見つめている。シュンの白い肌がチラついて、落ち着かない・・・。
「でも、一回はするよ。さっき言っただろ?」
 俺の頬に手を添えてシュンがそう言った。顔がカッと熱くなる。
「・・・本当にいいの?」
「しつこいなぁ。いいに決まってるだろ? 抱いてくれなかったら、俺眠れないよ」
 シュンの言い方があまりにもストレートで、言われた俺のほうが照れてしまった。
「鷹人・・・可愛いね」
 クスッと笑いながらシュンが言った。
「え? そうかなぁ?」
「うん、すごく」
 シュンの方が何十倍も可愛いのに――何だか奇妙な気分。やっぱりシュンの方が年上だからかな?
「ほら、薬付けるよ」
 シュンは、用意しておいたパジャマを着ると、俺の手を引いて寝室にむかった。



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テーマ:BL小説 - ジャンル:小説・文学

出会わなければ 125
 俺は、その時になってやっとシュンの服装に気が付いた。
「シュンさん、その格好・・・なんだか、珍しいですね?」
 今時の若者風な服装に、薄く色のついたメガネを掛けていた。手にはメッシュのキャップを持っている。
「ん? ちょっとコンビニに寄りたかったからサチに服借りたんだけど、どうかな? 似合ってる?」
「え・・・まぁ・・・」
「あはは、無理してるね鷹人。自分でもちょっと恥かしかったんだけど、買いたいものがあったから・・・」
 そう言ってシュンがニッコリ微笑んだ。
「何を買ったんですか?」
「これだよ」
 シュンが手に持ってるコンビニの袋を持ち上げた。俺は、袋の中を覗いてから、もう一度シュンの顔を見た。
「それ・・・買ってたんですか?」
「そっ。必需品でしょ? やっぱり」
 シュンが悪戯っ子のような顔をして笑っていた。・・・良いの? 本当に――。

「でも・・・サチさんは何て言ってましたっけ?」
「鷹人? 俺とサチと、どっちの言う事聞くんだよ?」
 可愛く微笑みながらシュンがそう言った。どっちの言う事聞いても、文句がでそうなんだけど? でも、俺はやっぱりシュンと同じ気持ち・・・。

「そりゃあ、シュンさんに決まってるじゃないですか」
「ちょっと、引きつってない? 鷹人」
「そ、そんな訳ないですよ」
 笑顔で言ったつもりだったけど・・・顔に出てた?
 サチと進藤に、良いようにからかわれる事に決定した感じかな――まぁ、いいか? そんなこと。

「シャワー浴びる?」
 そう聞いたら、シュンが恥かしそうに視線を泳がせた。
「うん・・・鷹人は?」
「さっき浴びたから」
「じゃあ、薬はどうしたの?」
「え・・・あぁ、忘れて・・・」
「そっか。じゃあ、俺が塗ってあげる。すぐにシャワー浴びてくるから、待ってて――」
 シュンが手を振りながらフロ場の方に向った。

「シュン? 着替えはどうする?」
「鷹人の服、適当に貸して。そうだ! 今度、着替えも持って来ようっと。それから歯ブラシとかコップとか。なんかワクワクするな」
 脱衣所からシュンの嬉しそうな声が聞こえてきた。何だか可笑しくて、俺は1人で笑ってしまった。本当に無邪気で可愛いシュン。それって、俺の前だからなの? もう他の誰にも見せたくない――その無邪気な姿も、はにかんだ笑顔も、キスする時の表情も・・・・・・あなたのすべてを――。



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