「あぁ、姉貴・・・彼が牧野だよ」
藤田がメチャメチャ嬉しそうな顔をして、お姉さんの方を見た。
「どうも・・・お邪魔してます」
『来てるんだって?』っていう表現が気になったんだけど、とりあえず普通に挨拶すると、 藤田によく似た綺麗な姉さんが、ニッコリ笑って俺のことを見た。
「うふふ・・・いらっしゃい、牧野君。いつも馨がお世話になってます。これからも、仲良くしてやってね」
「あ・・はい」
藤田の姉さん、何だか含み笑いしてんだけど・・・そう言えば、母ちゃんもそうだったよな・・・。
「牧野君って、カッコ良いね。馨が惚れるのも分かるわ・・・ホント馨は面食いよね。でもまぁ、あたしの彼氏には負けるけど・・・」
藤田の姉さんがそう言ったかと思うと、俺の肩をポンポンと叩いてから、藤田の頭をグリグリ撫でた。
「イテーよ!姉ちゃん・・・」
文句を言ってるけど、藤田は嬉しそうに笑っていた。
ちょっと待てよ・・・藤田の姉貴は、弟が『男に惚れている』事について、何も疑問に思わないのか――って言うか、そういう会話を普通にしているのか?
「母さんも、馨が両想いになって良かったって、言ってたわよ」
オイオイ・・・やっぱり俺達の関係を母親も知ってるのかよ? 両想いって言ったって、藤田馨は男だし、俺だって男なんだぜ? 息子に彼氏が出来て、「良かった」って言っている親ってどうなのよ?
「牧野君、どうしたの?」
俺は、1人でパニックに陥っていた。
だいたい、本人にだって伝える事は無いって思っていた、この世間的には認められないだろうと思われる恋心・・・運良く両想いになれたものの、やっぱり他人に言うのはヤバイだろう・・・って思っているのに、今じゃ、噂話大好きの柿本に知られ、そして、なんと藤田の家族にはバレバレで・・・。
本当に良いのか? 俺たち・・・
「・・・あの・・・お姉さんも、お母さんも知ってるんですか? 俺たちのこと」
恐る恐るそう言ったら、藤田も姉さんも、笑い出した。
「そんなの家族なんだから、当然じゃない」
藤田が不思議そうな顔をしながら、俺の事を見た。そんなの・・・家族だからこそ、言えないって話じゃないの?
「馨ったらねー、いっつも牧野君の事話してたのよ。今日は話が出来た・・・とか、宿題見せてやったとか」
俺の話が、ごく自然に、食卓の話題に上っていたのか? メチャクチャ恥ずかしいんですけど・・・。
「・・・そ、そうですか」
「昨日は、馨、とってもご機嫌でね。これは牧野君と何かあったなーって思ってたのよ」
藤田の姉ちゃんがニヤニヤ笑っていた。
「もう、姉ちゃん、恥ずかしいよ・・・」
そうは言ってるけど、藤田の奴、すごい嬉しそうだし――まぁ・・・反対されてないのは良い事なんだけど・・・。
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