サチの言葉を聞いて、この間サチが言っていた事を思い出した。「彼女が居るくらいじゃ諦めない・・・」そうか・・・サチはそういう人だったんだ――。
「いえ、そうじゃ無くて・・・」
何と言えば良いんだろう?
「進藤さんが居るからダメなの? 2人の方がいいのかな? それとも、3人が嫌だったら・・・そうだ、シュンにも一緒に来てもらおうか?」
サチが勝手に話を進めようとしている。シュンが一緒だなんて、ますますとんでもないと思う――。
「サチさん、聞いてください」
「何? 渡辺さん」
「俺、彼女との事まじめに考えているんです。だから、悪いんですけど、俺に・・・あの」
「ちょっかい出すなって感じなのかな?」
言い辛くて言葉を濁していたら、サチから言ってくれた。
「はい、済みません」
失礼な事を言ってるんだろうとは思うのだけれど、とにかくこの状況から逃げ出したかった。
「嫌だなぁ、何も、無理やり俺のモノになれなんて言わないですよ。ただ、知り合いになりたいんだ。渡辺さんだって、俺のこと何も知らないでしょ? 俺たち、いい友達になれるような気がするんですけど」
「でも・・・」
「分かった。じゃあ、明後日、シュンも一緒にって事でどうです?」
全然わかってないじゃないか・・・どうしてそんなに強引なんだよ? そこまでする価値、俺には無いと思うのに――。
受話器からは、サチがシュンを食事に誘っている声が聞こえてきた。
「シュンは大丈夫みたいだよ。渡辺さんはどうかな」
「いえ、えっと、すぐには分からないので、後でまた連絡します」
断わる言葉がすぐに思いつかず、連絡し直すことにしてしまった。
シュンも一緒にだなんて、サチは何を考えているんだろう? でも、サチはシュンと俺の事は知らないのかもしれない。それとも、知っていてわざとやっているのだろうか? だったら、余計行きたくない・・・。
「分かったよ。じゃぁ、良い返事を待ってる」
電話を切った後、仕事部屋に戻ったが、今まで順調にやっていたのに波を逃したかのように筆が進まなくなってしまった。
一体どうやって断わろう?
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