色んな意味で、進藤との組み合わせが一番気楽で良い。バイトの仲間うちでも受けが良いし、客の扱いも上手い。特に酔っ払いの相手をさせると、右に出る者が居ないくらいだ。
さすが、俺より1年長くやっているだけの事はある。頼りになるし、話題も豊富で面白い。それに、俺の将来について、何かと気に掛けてくれて、アドバイスしてくれる。
ただ、親しくなるにつれて、俺をからかって楽しんでるな・・・って思う時もあるんだんだけど・・・。
「最近さ、あの人来ないよな?」
進藤が意味ありげに言って笑った。
「あの人って誰だよ?」
何となく、言いたい名前は分かるけど、分からない振りをした。
「Sabelのシュン」
「あ・・・そうだな」
進藤とは、話題にしたく無かったから、あの日以来、シュンの話をしないようにしていたのだけど・・・。
「なぁ、鷹人、そう言えば、シュンさんに頼まれてた絵はどうした?」
絵のことを言われ、胸がドキドキしてきた。あの日の事が、思い出されるようだった。
「え、あぁ。出来上がったから、渡したよ。結構気に入ってくれたみたいだぜ」
進藤に勘ぐられないように、平静を装って言葉を続けた。
「何だよ、こっそり会ってたのかよ・・・」
「いや、別に、こっそりとかそんなのじゃないし」
「ふーん。まぁ、いいけどさ。気に入ってもらえて良かったな。で、お前いくら貰ったんだよ?」
絵を渡した事を進藤に話さなかったのは、あの日のシュンと俺の間にあった出来事を、すべて話してしまいそうだから・・・。もし聞かれたら、進藤には黙ってる自信が無かった・・・俺がシュンに対して持っている感情を・・・。
信頼しているんだけど、シュンとの事は、進藤にも話してはいけないと思っていた。だから、シュンの話をしないようにしていたのに・・・。
「え・・・」
いくらって・・・『身体で払ってもらった』・・・なんて冗談でも言える訳が無く、思わず下を向いてしまった。頬が熱いって事は、俺はきっと赤面しているんだろう・・・。
「何、赤い顔してんだよ? 何かあったのかよ?」
「え?」
俺は1人で密かに慌てていた。進藤の奴、何か勘ぐってるんだろうか?
進藤がしばらく、俺の顔をジーッと見ていた。それから何故か、呆れたような顔になり呟いた。
「おい、もしかして、タダであげたんじゃないよなぁ? 鷹人・・・惚れた弱みか?」
進藤が信じられないっていうような顔をしながら言った。
「惚れた・・・とかそんなんじゃないさ・・・だって、まだ金貰うほどの絵は描けないから」
「お前、ホント馬鹿だなぁ・・・芸能人なんて金いっぱい持ってんだからさ、沢山もらわなきゃ。お前の絵なら、金貰ったって全然問題ないと思うんだけど? まったく、仕方ねー奴だな・・鷹人は」
「うーん・・」
横では進藤がまだブツブツ言っていた。
「俺を通せば確実に金を貰ってやったのに・・」なんて相変わらずマネージャー気取りだった。
こいつに俺の気持ち話したら、何て言われるだろう? 『そういうのもあるよな』って言ってくれるんだろうか? それとも・・・
FC2 Blog Ranking←ランキングに参加してみました。良かったらポチッとお願いします


お知らせ
。