−甘嘘別館−  
♪ハッピーエンドのBL小説を連載します♪

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Author:りょう
BL小説を書いてます。
よろしくお願いします☆
別館では18禁小説は連載しません。
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☆おことわり☆ 
「出会わなければ」には、実在のバンド、メンバーと似た人物が出てきますが、実在の人物とは一切関係ありません。

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馨の居ない教室で・・・3
「ほら、馨、これ好きだろ?」
 不貞腐れている藤田をギュッとハグしてから、コンビニの袋を持ち上げ、中からゼリーを出した。
「お、やったぁ。マキは気が利くねぇ」
 ベッドの端に座り、俺から嬉しそうにゼリーを受け取ると、ゼリーのカップを手に持ったまま、今日学校であった事を俺に尋ね始めた。

「なぁ、馨、ゼリー温まっちまうよ?」
 藤田は、受け取ってから食べもせずに手で弄んでいたゼリーカップを、自分の額や頬に当て「冷たくて気持ち良い・・・」とか言い始めた。
「・・・今日の夕飯のデザートにするつもりなんだ〜。後で冷蔵庫に入れるから温まっても平気だよ」
 藤田がそう言ってゼリーを俺の額や腕にくっつけ始めた。
「ふーん」
 もうすっかり温くなっているよ。まぁ・・・また冷やせば良いんだろうけどさぁ。

「俺ねぇ、食後のデザートって欠かせないと思うんだよね。すっごく楽しみなんだよ・・・」
 藤田がそれからしばらくの間、子供のような顔をして、デザートの事を語り続けた。
 さっき、「小学生でもないのに」って言っていたわりに、考えてる事は子どもみたいだよな。

「ねぇ、マキ・・・やりたくね?」
 藤田がベッドに並んで座っていた俺の太腿に手をスッと乗せてきた。
 子どものようだった藤田が、いきなり大人になった・・・って感じだろうか。
「何言ってんだよ。病み上がりのくせに」
 俺がそう言うと、今度はまた子供のような笑顔を見せた。
「もう平気。マキの顔見たら、バッチリ元気になった」
 俺は藤田に押し倒されそうになった。
「でも、今日はやめとく」
 藤田の身体を押し返しながら言った。
「何で?」
 あのなぁ、下にはお前の母ちゃんが居るんだぞ! ・・・って今までに何度も言ったセリフだ。
でも、こいつにはそう言う理由があまり通じない。

「・・・体力落ちてるのに、今やったら、また学校行けないかもしれないじゃん。そしたら、明日も会えないんだぜ・・・寂しくない?」
 俺がそう言ったら、藤田の奴はすっごい嬉しそうな顔をした。藤田はこういう言葉に弱いからな・・・。
「俺って愛されてる?」
 横から抱きつきながら藤田が言った。
「あ・・・当たり前じゃん」
 ちょっと照れくさくて、小さな声で呟くと、藤田が、俺の耳朶をハムッと甘噛みした。ゾクッとして鳥肌がたってしまう。

「マキに愛されてるって思うと、嬉しいよ。今日は我慢するけど、今度いっぱいやろうね」
 耳元で囁くように言われ、小さく頷くのがやっとだった。


 翌日、俺は熱を出した。
藤田からのメールによると、誉田が、「予想通りになったな」って言ってニヤケていたそうだ。
 こんな事なら、昨日、藤田とやっておけば良かったかな・・・・。
これで、しばらくはお預け状態になってしまうだろう・・・。




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馨の居ない教室で・・・2
 学校から出て、部活の仲間と別れ、藤田の家に向う途中のコンビニで、フルーツゼリーを買った。
花を持って見舞い・・・なんて、ありえないし、恥かしいし、高いし・・・あいつゼリーが好きだし――。

 藤田の家に着きチャイムを押すと、いつものように、あいつの母親が笑顔で迎え入れてくれた。
藤田の母親は、俺と馨が恋人同士だって事を知っている。だから、俺は目が合うと、ちょっと照れくさくなってしまう。
 何で素直に認めてくれてるんだろう? ありがたい事なんだけど、ちょっと不思議だった。

「馨がね、牧野くんのことずっと待ってたのよ」
 ニッコリ笑顔で言われ、俺は思わず顔を覆いたくなる。
「そ・・・そうですか・・・」
「土日も会えなかったでしょ? すごく寂しがってたのよ。まきちゃんとデート出来ないって、グズグズごねていたわ」
「はぁ・・・」
 マジでに恥かしい――俺、耳まで赤くなっているんじゃないかと思う。
「どうぞ上がって。もう、熱も無いんだけど、用心のため休ませただけなのよ」
「そうですか・・・じゃあ、お邪魔します・・・」
 あいつの母親が、階段の下で俺に向かって手を振っていた。・・・あいつ、絶対母親似だ。

「おい、来たよ」
「入ってよ、マキ」
 藤田の声がした。何だよ・・・熱ないなら、ドアくらい開けられるだろ・・・。
「どうだ、馨? もう熱も下がってるんだろ――」
 ドアを開けて、部屋に入ると、藤田がベッドの上にパジャマ姿で転がっていた。
 パンダの模様のパジャマなんて、この年でどうなんだ? って感じもしつつ・・・まぁ、藤田が着てると可愛いかもしれない・・・。

「うん、全然平気。今日は行きたかったんだけどね、母さんがダメだって言ってさ。もう好い加減、小学生でも無いっていう感じなのにさ――」
「そっか。じゃあ明日は学校行けるんだよな?」
 毎日鬱陶しいと思っていたのに、いざ休まれるとかなり寂しかった・・・という事実を素直に認めてしまった俺は、嬉しくてそう言った。
「もちろん行くよ。ねえ、マキ、今日は寂しかった?」
 ・・・そう、自由に出来るはずだった一日が、退屈で仕方なかったのだ。
「まぁね」
 でも、俺の性格上、寂しかったと口には出せない。
「ねぇー・・もっと寂しがってよ」
 ベッドの上に起き上がった藤田が、俺の肩に手を置いて、小首を傾げていた。
「アホ」
 まるでキスを待っているかのような雰囲気の藤田の頭をコツンと叩いた。
「痛いなぁ・・・」



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馨の居ない教室で・・・1
「まーきちゃん」

 いつも俺を呼んでいる能天気な声が、今日は聞こえてこない。
俺らの関係がバレてしまって以来、藤田は「周りが見えないのか?」ってぐらい俺にベタベタしてきて、正直鬱陶しいって思うときもある。
 今日はその藤田が休みだ。だから、ホッとしていられると思ったんだけど、恐ろしい事に、牧野のベタベタが習慣になっていたのか、寂しいような、何か足りないような奇妙な気分だ。
 藤田以外にも仲の良い友達が居るから、そいつらとゆっくり話も出来るし、自分の思う通りに行動出来るはずなのに・・・なぜだか、何をする気もおきない。

「おや、牧野? 彼女が休みで、寂しいわけ?」
 俺たちの関係を詳しい所まで知らない、クラスメイトの誉田(ほんだ)が俺に声をかけた。
 普通の恋人同士だったら、女がする役割を俺がしているって事に気が付いてるのは、多分、柿本だけなんだろう。
 柿本は一番初めに、俺と藤田の関係を知った奴だ。あいつの事だから、直ぐにクラスの奴らに言って回るかと思ったのだけど、結局、誰にも言わなかったようだった。
 まあ・・・柿本が噂を広める前に、嫉妬に狂ったアホな俺が、藤田と俺の関係を公表してしまったようなものなんだけど・・・。

「別に。藤田となんて、学校以外でも会えるし」
 面倒臭い質問には、誤魔化さず、正直に答える。
でも、俺が『彼女』だって事は絶対言わないでおく。それだけは、何があっても言いたくない。

 抱かれるのがイヤ・・・って事は無い。俺は、認めてしまったのだ――あいつを抱くのは無理だろうって事。
恥ずかしいんだけど、俺は藤田のテクニックに骨抜き状態なのだ。でも、それを他人に言うのは、ちょっとプライドが許さない・・・。

「ふーん。相変わらずラブラブですねぇ」
 誉田が茶化すように言った。
「そうそう、ラブラブだから」
 軽く流すに限る・・・イライラするなよ、俺。
「そんなにラブラブだと、明日には、まきちゃんが風邪ひいてたりして」
 はぁ? お前が、まきちゃんて呼ぶな! と言いたいけど我慢。
「あはは。そうかもね」
 これも面倒臭いので、素直に頷いておく。偉いぞ俺、よく頑張った!

 授業が終わると、部活に出た。
 部活が始まる前、「具合はどう?」って藤田に送信したメールには、「帰りに寄って。顔が見たいよ」という返信メールが来ていた。
 マジ可愛い奴・・・なんて思いながら、部室で1人ニヤケテしまった。
慌てて周りを見回したけれど、どうやら誰にも見られていなかったようで、ホッとした。



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放課後はいつも・・・6(藤田)
 牧野が校庭で俺を抱きしめてくれた、メチャメチャ感激! 俺、やっぱり牧野に愛されてる?!
柿本にはちょっと悪いような気もするけど、柿本がいてくれたから、牧野がこんな大胆な行動をとってくれたんだと思うよ、ありがとな。

 「一緒に帰れない」って言ったのは、ホント言うと、牧野が何て答えてくれるか、試してみようと思ったからなんだ。
 牧野ったら恋人同士になってからも、今までとあまり変わらな態度で、一緒に帰れるように頑張ってる俺の努力って無駄なわけ――なんて・・・。何だか、俺だけが牧野の事を好きみたいじゃない・・・?って。
 ちょっとは気にかけてくれて「何か用事があるの?」とか言ってくれるかと思ってたのに・・・。まぁ、言葉は無かったとしても、牧野がちょっとでも寂しい顔してくれたら、それで満足出来たのに・・・。
そしたら「やっぱり、本当は一緒に帰れるんだ・・・」って言うつもりだったのにさ。

 なのに・・・牧野ったら全然余裕の顔しちゃってるし、煩そうな顔するし・・・「何て言って欲しいんだよ!」とか言って怒るし。だから俺、変な意地張ってしまったよ・・・
 でも、良かった・・・牧野が態度で表してくれて・・・。

 ギュッと抱きしめながら牧野が、俺の耳元で囁いた。
「馨・・・一緒に帰ろう、待っててくれる? 俺、馨の家に寄りたいな・・・」
 牧野の声、学校では絶対聞けないような甘えた声だった。下半身直撃だったよ。
 今日も、マキちゃんの可愛い顔、見られるかもしれないぞ・・・。

「じゃ、柿本、俺やっぱり、マキちゃんと帰るから、先帰っていいよ」
 ニッコリ笑顔で柿本に言ったら、あいつはムッとしたような顔をした。
「ふざけんなよ・・・このバカップル」
「羨ましかったら、柿本も早く彼氏つくれよ」
 俺の言葉に、柿本がますます眉をつり上げた。
「あのなぁ、俺は彼女が欲しいの。男なんていらねーって」
「ふーん。男同士のアレって、すっげー良いのに。ね、マキちゃん」
 牧野が焦ったように俺から腕を離すと、真っ赤になって俯いてしまった。本当に可愛いよなぁ、牧野・・・男っぽいのに純情で。
「・・・お前、学校でそんな・・・」
 学校でそんな・・・って、マキちゃんこそ、熱烈な抱擁してくれていたくせに・・・。
  もう、この状況じゃ、皆にバレバレだろうな・・・。



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放課後はいつも・・・5(柿本)
 冗談のつもりで藤田の肩に腕を回し、その細い身体をギュッと引き寄せた途端、体育館の方からすごい勢いで誰かが飛び出してきた。

「柿本テメー!」

 声のする方を見ると、牧野が血相変えて俺の方に向かって走って来るじゃないか。
 俺が慌てて藤田から手を離すと、次の瞬間、牧野は俺の目の前にいて、左手は俺の胸倉をガシッと掴み、右手は拳を握り締め、怒りにプルプルと震えている・・・って感じだ。

 ヤバイ!――牧野のこんな真剣な顔、今まで見たこと無いぞ・・・

 殴られると思った俺は、焦って目を瞑り、顔を横に向けた。

 ちょっと冗談キツかったか・・・でも、牧野が学校でこんな行動を取るとは思わなかったし―― って後悔してももう遅いか・・・。

 直ぐに殴られると思っていたのに、ちっともその気配が無いから、俺は恐る恐る目を開けてみた。
「まきちゃん、ダメだよ・・・」
 牧野の振り上げられた拳を、藤田が必死で止めてくれていた。
「でも・・・」
「まきちゃん・・・離してあげてよ」
 藤田の穏やかな声が聞こえると、俺の胸倉を掴んでいた牧野の手から、力が抜けていき、目の前いた牧野が、ゆっくりと俺から離れて行った。

「何だよ! 馨・・・柿本と何の用事があったんだよ? そんなにベッタリくっ付きやがって!」
 牧野の怒りは治まっていない様子だ・・・おやおや? 牧野君、藤田のこと馨って呼んでたんだ――。
「落ち着けよ・・・まき。ごめん、本当は用事なんて無かったんだ。ただ・・・・・・ちょっと試してみたんだよ。俺が『一緒に帰れないって』言ったら、まきちゃん何て答えてくれるかな? って思って――」

「「試した?!」」
 俺と牧野が同時に言った。何だよその理由? 男がそんな事するかよ普通・・・。
「お前・・・ばっかじゃねーの! そんなくだらない事すんなよ!」
 言おうと思ったけど、我慢していた事を牧野が言った。やっぱりそう思うよな? 牧野も普通の奴だよな・・・。藤田は見た目だけじゃなくて、中身も女っぽいのかも知れない・・・。

 ホッとするやら、呆れるやらで、2人の様子をボンヤリ見ていたら、牧野が心底安心したような顔をして、藤田の身体を引き寄せると、ギュッーと抱きしめたじゃないか・・・。
 はぁ、こいつらマジ、バカップル。俺を巻き込むなって感じ。

 俺が、牧野と藤田が出来てること言わなくても、この2人は自分達で噂を広めていくことになるんだな・・・。こんな抱擁、めったに見れるものじゃないよ――。



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